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2012年6月7日(木)

来月40年の美浜2号機 福井

運転延長を容認 保安院が案示す

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 経済産業省原子力安全・保安院は6日、関西電力美浜原発(福井県美浜町)2号機について、40年を超えて運転の継続を認める案を専門家の意見聴取会に示しました。政府は今国会に、原発の運転を原則40年とし、40年を超えた原発は廃炉とする原子炉等規制法の改正案を提出しており、整合性が問われています。

 美浜原発2号機は1972年7月25日に運転を開始、来月25日には40年を超えることになります。関西電力は昨年、保安院に対しさらに10年間の運転継続を認めるよう申請していました。

 原発の運転期間については法律で決められていませんが、運転開始から30年たった時点で審査し、以後10年ごとに審査することになっています。美浜原発2号機は、30年たった時点で審査を受け、運転を継続してきました。保安院は、40年を超えて運転を継続したいとする関電の申請を受け、現地調査などを含め、審査を行ってきました。

 美浜原発2号機の40年を超えての運転継続が認められれば、国内の原発では4例目。これまでに認められた3機の原発の中には東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)1号機も含まれています。

解説

「40年廃炉」のまやかし

 保安院が、運転開始から来月で40年を迎える美浜原発2号機の運転継続を認める姿勢を示したことは、政府が国会に提出している「原発を原則40年で廃炉」にするための法案と矛盾しています。もともと、この法案には例外規定があり、最長60年までの延長が認められることから、40年はまやかしとの批判がありました。保安院の今回の対応は、それを実証するものにほかなりません。

 原発は、運転期間が長くなればなるほど壊れやすくなります。高温、高圧の水や蒸気にさらされる機器や設備は金属疲労や熱疲労を起こし、運転中に炉心から出る中性子線を浴びる原子炉圧力容器の鋼鉄はもろくなります。美浜原発2号機では、1991年2月に蒸気発生器の細管が金属疲労で破断して冷却水が漏れる事故が発生しました。このとき、原子炉が空だきになって炉心が溶けるのを防ぐ緊急炉心冷却装置(ECCS)が日本の原発で初めて作動しました。

 原子力規制機関を自称する保安院は、福島第1原発が津波で大事故に至る危険性を事前に知りながら何の対策も求めず、また国主催の原発シンポジウムで電力会社に「やらせ質問」を指示していたことなどが明らかになり、国民の信頼を完全に失っています。3月31日には廃止が決まっていました。

 民主党政権は、地球温暖化対策を口実に老朽原発の酷使を打ち出していました。新たな規制組織の発足が遅れているため存続しているだけの組織に、駆け込み的に運転継続のお墨付きを与えさせることは許されません。(間宮利夫)


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