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2012年6月5日(火)

きょうの潮流

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 金星が6日に太陽の前を通過します。太陽と地球の間に金星が入り一直線に並んだときに見られる現象で、金星の太陽面通過と呼ばれます。前回は2004年、次回は105年後ですから、たいていの人は一生に1度か、多くて2度しか見ることができません▼1874年のことです。アメリカなどの観測隊が観測の最適地だとして来日しました。観測によって太陽までの距離を求めたとされます。横浜に観測所を設けたメキシコ隊のディアス隊長が『日本旅行記』を残しています▼国立天文台台長のディアスらを乗せた船は横浜港に到着。ディアスは「夜は明けきってはいなかったが、上陸の喜びと日本人を初めて見るという強い好奇心とで、眠気はふっ飛んだ」(大垣貴志郎・坂東省次訳、雄松堂書店)と回想しています▼世界の観測隊が海を越えてやって来ることに、当初明治政府はとまどったといいます。「開国して日も浅いわが国にとって…科学における黒船とも称すべき事件」と天文学者の斉藤国治氏が『星の古記録』(岩波書店)に書くほどです▼当時、幕府天文台は解体し、天文方は失職し離散。代わって若い技師たちによって「西洋天文学の新しい芽が育ちつつあった」と同書にあります。それもあってか若い実習生が隊に加わり観測技術を身につけようとしました▼ディアスもこれにこたえました。「彼らの抱く疑問や質問のすべてに回答を与えようと常に努力した」(『旅行記』)。世紀の天文ショーには興味尽きない歴史があります。


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