2012年6月4日(月)
シリア情勢
「全面的内戦」の危険
アナン特使 外相級会合で警告
【カイロ=小泉大介】国連とアラブ連盟(21カ国と1機構が加盟)の合同シリア担当特使を務めるアナン前国連事務総長は2日、カタールの首都ドーハで開催された同連盟外相級会合に出席し、軍による住民弾圧が激化の一途をたどるシリア情勢について、「全面的な内戦」に陥る危険があると警告し、アサド政権側に停戦措置を即時取るよう求めました。
アナン氏は、先月25日にホウラで発生した住民大虐殺をあらためて非難し、「宗派的要因による全面的な内戦の危険が日増しに強まっている」と強調。「状況は複雑であり、暴力停止のためすべての勢力が責任を果たさなければならない。しかし、第一義的な責任はシリア政府とアサド大統領が負っている」と力説しました。
一方、2日のアラブ連盟外相級会合は声明で、国連安全保障理事会に対し、「国連憲章にもとづく責任を果たし、アナン特使の停戦案の完全かつ即時履行のためあらゆる必要な措置を取る」よう要求しました。
カタールのハマド首相兼外相は会合で停戦案履行に期限を設けることに加え、履行されない場合は国連の武力介入を可能にするよう主張。しかしアラブ連盟のアラビ事務局長は会合後の会見で武力介入要求での一致はなかったと表明しました。
シリア政府軍による住民攻撃は2日も続き、英国に拠点を置く「シリア人権監視団」によれば、少なくとも38人が死亡。北部イドリブ近郊では、政府軍と反体制武装組織との間で大規模な戦闘が発生し、政府軍側にも多数の犠牲者が出たもようです。