2012年6月4日(月)
ムバラク前大統領終身刑判決に怒り
「革命」前進へデモ拡大
エジプト
【カイロ=小泉大介】エジプトでは、2日にムバラク前大統領に対する終身刑判決が出たことを受け、昨年はじめの「革命」のさらなる前進を合言葉にしたデモが首都カイロや第2の都市アレクサンドリアはじめ全国で拡大し、16、17日に予定される大統領選挙決選投票に影響を与えることが必至の事態となっています。
大統領選挙決選投票に影響も
2日午前の特別法廷は、「革命」の原動力となった昨年1〜2月の大規模デモ参加者の殺害を命じた罪で、ムバラク前大統領とアドリ元内相に対し終身刑を言い渡しました。しかし同じ罪で被告となっていた6人の治安機関幹部や、公金横領罪などに問われていた前大統領の息子2人は無罪。さらに前大統領の弁護士が控訴する方針を表明したことで、国民の間に大きな怒りが沸き起こりました。
2日午後以降、首都カイロのタハリール(解放)広場には人々が続々とつめかけ、同日夜には数万人規模にふくれあがりました。青年、労働者、家族連れ、宗教者などさまざまな層の参加者が判決に抗議し、いまも実権を握る軍最高評議会に対し、即時民政移管するよう要求しました。
女性医師のオラ・モハメドさんは「治安機関幹部が無罪となったことは、抑圧国家の復活を予兆させるものだ。そんなことは絶対に許さない」と力を込めました。
カイロ大学の女子学生、ラミア・マフムードさんは「私は判決への抗議だけでなく、パン、自由、社会的公正という革命の要求を実現させるために参加した。これらの要求は実現しておらず、私たちは決して、逆戻りしてはならない」と決意を語りました。
デモでは大統領選第1回投票で3位となった左派・ナセル主義者のサバヒ氏や4位の穏健イスラム主義者、アブルフトゥーハ氏らが参加者を激励。決選投票に進出したイスラム主義組織・ムスリム同胞団のモルシ候補も姿を見せました。