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2012年5月25日(金)

主張

「後期医療」廃止棚上げ

“増税談合”への布石など論外

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 民主党が2009年総選挙で公約した後期高齢者医療制度の廃止について、野田佳彦首相が「どのように現実的に対応するか判断したい」とのべ、廃止を棚上げする姿勢を鮮明にしました。衆院「社会保障と税の一体改革」特別委員会で、自民党議員から「廃止撤回」を求められ、答えたものです。高齢者の医療を年齢で差別すると批判が集中した制度の廃止を公約しながら、存続させるのは、国民への裏切りそのものです。

自民にひたすら呼応

 野田首相の「廃止」棚上げ発言が、消費税大増税と社会保障改悪の「一体改革」法案を今国会で成立させる、自民党との“談合”の“呼び水”にしようと行われていることは重大です。

 消費税増税では野田内閣と同じ推進の立場の自民党が、後期高齢者医療制度廃止などの公約撤回を首相が約束すれば賛成の条件が整うかのような質問を繰り返しています。増税に突き進む野田内閣が、自民党の誘いにのって、国民に約束したことを平然と投げ捨てる姿勢を露骨に示しているのです。

 消費税増税の“談合”を進めるために、国民に被害を与え続けている制度を存続させることを取引材料のように扱うことなど論外です。公約に盛り込まなかった消費税増税に暴走し、公約に明確に書き込んだ後期高齢者医療制度廃止を投げ捨てる姿は、異常としかいいようがありません。

 消費税増税で民主党の「公約違反」を批判しながら、後期高齢者医療などで民主党に公約撤回を迫る自民党も身勝手の極みです。

 約1400万人が加入する後期高齢者医療制度は、自公政権時代の医療「構造改革」の中心的な制度として08年に導入されました。国民健康保険や健康保険組合などに加入していた人が75歳になったとたんに、それまでの医療保険から無理やり切り離され、新たな保険料負担などが強いられます。

 国民の怒りが広がるなかで民主党は総選挙で「廃止」を公約しましたが、政権をとると公約を後退させ「廃止」の先延ばしを重ねました。今年2月に閣議決定した「社会保障・税一体改革」大綱には、「制度廃止に向けた見直しのための法案を提出する」と書き込みましたが、検討されている法案は、年齢差別の制度の根幹には手をつけない、事実上の存続法案というものです。この形だけの法案の提出までも先送りするという野田政権には誠意のかけらもありません。

 導入5年目となった後期高齢者医療制度の弊害はますます明らかになっています。4月に改定された保険料は過去最大の大幅な引き上げとなりました。保険料を払えない滞納者も年々増えています。保険料を払うことができない高齢者への銀行口座の差し押さえなども急増してきました。存続すればするほどくらしを脅かす制度であることは明確になっています。

現役世代も弊害深刻

 現役世代への弊害も深刻です。13年度からはメタボ健診の実施率が低い国保や健保などに後期高齢者医療への負担金を増額する「罰金」を開始しようとしています。

 高齢者にも現役世代にも深刻な負担を強いる後期高齢者医療制度の存続は百害あって一利なしです。消費税“増税談合”の布石にするのはやめ、問題だらけの制度は直ちに廃止すべきです。


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