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2012年5月22日(火)

主張

日豪軍事協力

軍事協力の深化許されない

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 日豪両政府が17日署名した軍事情報保護協定(GSOMIA(ジーソミア))は、秘密軍事情報の保全を徹底して、日豪の軍事協力を強める危険なとりきめです。アメリカ、北大西洋条約機構(NATO)、フランスに続くものです。政府は韓国ともGSOMIAを結ぶ考えです。

 GSOMIAは、テロ対策情報などを対象にした日仏協定を別にして、いずれも秘密保全の名のもとに軍事協力を強化するのが狙いです。戦争を放棄した憲法を持つ日本が、国民やメディアの知る権利を大きく制約しながら日米、日豪の軍事協力をさらに強化する企てを認めるわけにはいきません。

事実上の軍事同盟化

 日豪GSOMIAは、提供された秘密軍事情報の漏えい防止が眼目です。豪州から提供された情報を漏えいした者は、「懲役5年以下」(自衛隊法)、「懲役1年以下」(国家公務員法)の罰則が科されます。秘密情報にたずさわる公務員や個人に秘密情報を漏えいさせないことが表向きの理由にされていますが、国民やメディアの目をふさぐところにほんとうの狙いがあるのは明らかです。

 玄葉光一郎外相は日豪外相会談(17日)で、日豪GSOMIA締結は「日豪2国間及び日米豪3カ国間の安保協力を深化させる」とのべました。国民やメディアの目をふさぎながら軍事協力を強める狙いをあけすけに語ったものです。

 2007年の日豪安保共同宣言いらい、日豪共同軍事訓練が5回、日米豪3カ国の訓練が5回もおこなわれるなど、軍事協力は強まる一方です。自衛隊とオーストラリア軍が共同訓練などで軍事物資や役務を融通し合う物品役務提供協定(ACSA)も結ばれています。日豪関係が事実上軍事同盟化の方向を強めているのは重大です。

 アメリカは新国防戦略にもとづいてオーストラリア北部に海兵隊を展開するなど同国との軍事協力をより強めています。日米間ではアジア太平洋地域を見据えた自衛隊と米軍の「動的防衛協力」の強化にふみだしています。陸上自衛隊をオーストラリア北部で訓練させることを日本政府が検討しているとも伝えられます。日豪が軍事協力を強化し、アメリカを中心にした日米豪3カ国の軍事協力の態勢づくりを加速させるのは許されません。

 軍事力や軍事同盟でことを構える時代ではなくなっているのに、アメリカや豪州などとの間で軍事情報を秘密にする協定を結ぶのは理屈が合いません。日米豪3カ国が軍事協力を強めるのはアジア諸国に警戒心を抱かせ、地域の軍事緊張を高めることにしかならないのは明らかです。アジアと世界の流れに反することにもなります。

知る権利守ってこそ

 政府は国民の「知る権利」を奪う「秘密保全法案」の作成も急いでいます。日豪GSOMIAは秘密軍事情報の漏えい防止のために、「適当な措置をとること」とうたっています。自衛隊法などでは不十分ということです。日豪協定が政府の「秘密保全法案」づくりを加速させる口実になるおそれもあります。

 重要なのは国民の知る権利の保護です。政府は、国民の目をふさいでは戦争を防止できないという戦前の教訓に学ぶべきです。日米や日豪などのGSOMIAは破棄する以外に道はありません。


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