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2012年5月18日(金)

エジプト大統領選「脱米」候補が多数

追従から協力へ イスラエル関係見直し

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 【カイロ=小泉大介】投票日まで1週間を切ったエジプト大統領選挙(23、24日投票)で、候補者13人のうち多くが前ムバラク政権時代の親米、親イスラエル路線からの脱却を訴えています。それは、昨年はじめの「革命」後、外交路線の転換に踏み出した同国の姿をあらためて浮き彫りにしています。


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(写真)エジプト大統領選挙で候補者の訴えに熱心に耳を傾ける聴衆=16日、カイロ近郊(小泉大介撮影)

 多くの世論調査で支持率トップを走る前アラブ連盟事務局長(元外相)のムーサ候補は選挙政策で、「米国への追従でなく対等な協力関係」の樹立を表明。テレビ討論などで「パレスチナ(問題の解決)はエジプトの中心課題だ」と述べ、米国を最大の後ろ盾にパレスチナ占領を続けるイスラエルとの関係について再検討する考えを示しました。

 支持率でムーサ氏を追う穏健イスラム主義者のアブルフトゥーハ候補は15日の声明で、「民主国家として生まれ変わるエジプトは、米国の軍事同盟国家、イスラエルの戦略的財産としての国家に逆戻りすることはない」と強調し、1979年にイスラエルとの間で締結した平和条約を見直すと表明しています。

「巨大な監獄」

 イスラム主義組織・ムスリム同胞団のモルシ候補は、「イスラエルを含むすべての国と友好関係を築く必要があるが、基本になるのは相互尊重だ」と述べ、こちらも平和条約見直しを訴え。ムバラク時代最後の首相、シャフィク候補の陣営は選挙戦開始当初、平和条約堅持を強調していましたが、現在は、同氏が空軍兵士時代にイスラエルとたたかい戦果を収めたとアピールすることに躍起です。

 ムバラク時代の親イスラエル政策は、ガザ・エジプト国境のラファ検問所を閉鎖し、同地を「巨大な監獄」状態としたことに象徴的に現れています。閉鎖は、2007年にイスラム武装抵抗組織ハマスがパレスチナ自治区ガザを実効支配して以降、これを敵視するイスラエル政府と歩調を合わせたものでした。しかし「革命」後の昨年5月、暫定政府が検問所開放を決定するなど、対イスラエル政策の転換は実際に動きだしています。

 革命派弁護士のアリ候補は選挙戦で「私はエジプト人として、ガザを何年も封鎖してきたことを恥じなければならない」と表明しました。

イラン関係も

 イスラエルとの関係見直しの一方、各候補からは、1979年のイスラム革命以降、国交断絶状態にあるイランとの関係を改善すべきだとの声が上がっています。

 ムーサ候補は、核開発問題を口実にしたイラン攻撃計画に強く反対し、「われわれはイランの声に耳を傾け、対話していかなければならない」と強調。ナセル主義者のサバヒ候補が「お互いの共通利益を土台に、イランとの間に戦略的関係を構築する」といえば、左派・国民進歩統一党のバスタウィシ候補も「エジプトとの関係はもちろん、他のアラブ諸国とイランとの良好な関係も構築しなければならない」と訴えています。


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