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2012年5月14日(月)

主張

米大統領選まで半年

浮き彫りになった「強さ」競争

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 11月の米大統領選挙まで半年を切りました。二大政党制のもと、再選をめざすオバマ大統領(民主党)に、野党・共和党のロムニー前マサチューセッツ州知事が挑む構図が固まりました。

 オバマ大統領は、選挙戦のスローガンを4年前の前回選挙での「チェンジ(変革)」から「フォワード(前進)」に変えました。そこに、「強い大統領」を競い合う選挙戦の土俵が反映しています。

覇権主義を正当化

 オバマ大統領は1日、アフガニスタンを電撃訪問し、治安権限のアフガン側への移譲後も米軍の駐留を認めた協定に署名するとともに、米軍基地から本国向けにテレビ演説を行いました。

 冒頭で大統領は、国際テロ組織アルカイダを率いたビンラディン容疑者の殺害から1年になることをあげ、「アルカイダ打倒の目標は手の届くところにある」と述べました。「法の裁きを」との国際世論を無視した報復殺害を成果と誇り、続行を宣言したものです。

 これに先立ち、ブレナン米大統領補佐官は、対テロ作戦などのため他国で無人機による攻撃を行っていることを公式に認めました。米無人機による攻撃は主権侵害だとするパキスタンの反発にも、「国際法上問題はない」と押し切る構えです。いずれも、米国内向けに「強い大統領」の姿を打ち出しています。

 その陰に、オバマ大統領は「弱腰」だとする共和党の攻撃があります。共和党では“穏健派”とみなされるロムニー候補でも、対外政策ではイラン、北朝鮮、ベネズエラ、キューバに「ならず者国家」と敵意を示し、体制転覆を視野に入れて軍事を含む強硬対応を掲げるなど、こわもての姿勢です。

 その主張はイラクを侵略したブッシュ前政権を思わせるもので、実際ロムニー陣営には、ブッシュ政権に影響を与えたネオコン(新保守主義者)が参加しています。

 論戦の右傾化を象徴するのが、米国を「特別な大国」とみなすネオコンが持ち出した「米国衰退論」です。イラク戦争などの対外政策の失敗や「リーマン・ショック」での経済の落ち込みなどをあげて米国の「衰退」を指摘するのは、米国が主導してきた民主主義や市場経済などの「世界秩序の衰退」を意味する誤った議論だといいます。矛先はオバマ政権に向けられ、米国を「衰退する大国とみなしている」と非難します。

 オバマ大統領も「強い軍事力を維持し米国の価値観や理想に忠実であることで、米国の指導力の強化に努めている」と切り返しています。「強さ」をめぐる争いが覇権主義の正当化に向かうことには、警戒が必要です。

 オバマ大統領が「チェンジ」を掲げて当選したのは、ブッシュ政権が推進した一国覇権主義が破綻し、孤立を深めるなかで、国際協調を追求する新たな政策が米国内外で共感を得たからです。そこからの「前進」でこそ、国際的に受け入れられるものになります。

「日米同盟」の危険

 日本の一部にも「強い米国」の復活を望む声があります。野田佳彦政権が対外政策を考える頭を米国に明け渡し、「日米同盟」強化を進めるもとで、「強い米国」に期待する論調はきわめて危険です。覇権主義に付き従う姿勢は世界の歩みに逆行するものです。


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