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2012年5月11日(金)

節電目標を要請、政府検証委

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(写真)大阪市にある関西電力本店ビル

 政府の需給検証委員会(委員長・石田勝之内閣府副大臣)は10日、今夏の電力需給を分析した報告書案を公表しました。報告書案は、原子力発電所の停止が続き、2010年並みの猛暑になった場合、全国では0・1%の供給余力がある一方、関西電力管内は14・9%の電力不足が発生するとの見通しを提示。「全国レベルでの節電目標の共有といった電力会社全体の取り組みを検討すべきだ」と指摘しました。

 企業が需給逼迫(ひっぱく)時に使用を控える「随時調整契約」の影響を除いた場合は、全国で0・3%、関電管内では15・7%の供給力不足となります。検証委は12日の次回会合で、報告書を取りまとめる予定です。

 報告書案では、関西、九州、北海道の電力3社以外は供給力に比較的余裕がありますが、「関西電力への融通余力を極力確保する必要がある」と強調。政府に早急な節電目標の設定を要請しました。需要家がピーク時に使用量を抑えるなど、柔軟な需給調整に向けた行動計画の策定も求めました。

 また、原発停止が続いた場合、火力発電の燃料費が沖縄電力を除く9社で年3兆円以上増加するとして、「いずれ電気料金の上昇は避けられない」と明記しました。

 政府は検証委の報告を受け、来週にも関係閣僚らで構成する「エネルギー・環境会議」を開催。今夏の節電目標や対策を決定します。


解説

需給は「原発ゼロ」前提に

節電対策は無理なく

 全原子力発電所が停止した5日から日本の電力状況は根本的に変化し、原発ゼロを前提に電力需給を考える新たな段階に入っています。東京電力福島第1原発事故を受けて国民のエネルギー使用に対する意識も大きく変わりました。世論調査では、稼働する原発がなくなって、今年の夏に電力不足が生じ、電気の使用が制限された場合でも「我慢できる」と答えた人は74%に達しています(「毎日」8日付)。

 電力事業者は、原発再稼働の考えを捨て、原発ゼロで必要な電力供給をどう行うか、真剣に考えることが必要です。ところが関西電力は、10日の需給検証委員会に大飯原発3、4号機が再稼働すれば夏の供給不足は解消するとの見通しを提示。これでは「原発再稼働先にありき」の批判は免れません。その関電が電力使用量に応じてポイントを付与する電力使用増幅策を継続していることが、需給検証委員会で問題になっています。大島堅一委員は「電力抑制に対してポイントを付与するものへと変更する必要がある」としています。

 今夏の電力不足を解決するためには、ピーク時の大口需要家の需要抑制や節電が必要です。需給検証委員会の報告書案は「政府は早期に節電目標と対策をとりまとめるべきである」と強調しています。節電は昨年の原発事故後に行われたような苛酷なものではなく、無理のないやり方で進めるべきです。照明照度の見直しといった効果的で継続性の高い対策を全国レベルで実施すること、新たな電気料金体系の創設などのピーク時対策についても積極的に導入することなど、同委員会が例示しています。節電のための予算も十分に組んで抜本的に進めることが必要です。

 7月から実施される固定価格買い取り制度を活用し、再生可能エネルギーを本格的に普及することが求められます。 (柳沢哲哉)


 随時調整契約 電気料金を割り引く代わりに電力需給が逼迫(ひっぱく)したときは電気の使用制限を要請できる契約のことです。随時調整契約には、電力会社の要請の直後から使用制限をする瞬時調整契約と、1〜3時間前までに要請する緊急時調整契約があります。


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