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2012年5月10日(木)

ギリシャ左翼躍進

緊縮中止 EUに問う

独など「合意守れ」と圧力

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 ギリシャ総選挙で第2党へ躍進した急進左翼連合のツィプラス党首は6日夜、「欧州の指導者たち、特に(ドイツの)メルケル首相は、彼らの緊縮方針が大敗を喫したことを理解しなければならない」と総選挙の意義を強調し、欧州の対応を問うています。ギリシャの緊縮路線を欧州連合(EU)で主導してきたのがメルケル政権だからです。(アテネ=小玉純一、外信部=片岡正明)


 自らの赤字財政粉飾問題を契機に、国債償還が危うくなったギリシャは2010年以来2度にわたり、緊縮策実行を条件にEUなどから融資を受けることで合意してきました。同国の財政問題が欧州全体に影響し、一つの国の問題ではなくなったためです。

 緊縮を中止した場合、債務をどうするのか―。急進左翼連合の幹部のセオドラコプル・アナサテイック氏を訪ねました。「ドイツは1953年に対外債務を軽減してもらいました。私たちは監査委員会を設置し、債務の大きな額の帳消しの可能性を調べることを提案している」と語ります。

 ギリシャ政府はどう対応するべきか―。アテネ大学経済学部のステファノス・イオアノウ氏に聞くと、「緊縮を続ければ景気悪化の悪循環となり危機が深まる。緊縮を中止し、ギリシャ経済が成長した後に公的債務を返済する。成長するまで返済を繰り延べするための再交渉が必要だ。第2次大戦後のドイツがやったように」と話しました。

 与党だった全ギリシャ社会主義運動(PASOK)を離れ急進左翼連合から立候補し当選したソフィア・サコラファ氏はこう語りました。「国と人々が連帯するのが欧州。EUは手段です。ところがEUは今、ドイツ同盟。貧困と金持ちを生む欧州です。私は別の欧州が可能だと信じています」

 これに対し、開票後の7日、メルケル首相の広報官は、EUの支援と引き換えにギリシャが緊縮政策を実施するとした「合意は守らなくてはならない」と述べ、ドイツ政府はギリシャに関しては方針に変更のない姿勢を示しました。

 EUの執行機関である欧州委員会のバローゾ委員長も8日、「(ギリシャなど)EUの支援を受け入れた国には、今までの緊縮予算以外の選択肢はない」と圧力をかけました。一方で、同氏は雇用をつくるための景気浮上策の必要性も認めました。

 フランス、ギリシャと選挙で反緊縮派が相次いで勝利した欧州では、緊縮一辺倒からの脱却も模索されています。

 急進左翼連合躍進を生んだギリシャ国民の声をどう受け止めるのか、欧州の変化が注目されています。


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