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2012年5月4日(金)

主張

新報酬の医療・介護

利用者置き去りはあんまりだ

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 公的な医療保険と介護保険の「価格」である診療報酬と介護報酬が4月に改定され、問題が表面化しています。両改定は、野田佳彦内閣が消費税増税と社会保障の「一体改悪」の「確実な実現」の第一歩と位置づけ、法改悪に先行して実施したものです。両報酬がともに実質マイナス改定のもとで、必要なサービスが受けられない事態が生まれています。「医療・介護崩壊」に拍車をかける危険な姿を浮き彫りにしています。

本末転倒の“締め出し”

 大きな怒りを広げているのが、介護保険でヘルパーが訪問して行う買い物や調理、掃除、洗濯などの生活援助の時間の削減です。「30分以上60分未満」「60分以上」などだった区分を「20分以上45分未満」「45分以上」などに短縮し、報酬単価を引き下げたのです。

 生活援助は、ヘルパーが一緒に調理をすることなどで、利用者の自立支援と要介護度の悪化防止の効果などがある重要なサービスです。それを「限られた財源」「『お世話型』からの脱却」(厚生労働省)などと制限することは、利用者置き去りの乱暴なやり方です。

 批判の高まりのなか同省は、従来の時間の提供は可能という見解をあわてて出しましたが、さらに現場を混乱させています。時間短縮は撤回させるしかありません。

 「一体改悪」では「医療から介護へ」「施設から在宅へ」がうたい文句です。それにもかかわらず在宅の訪問介護利用者にしわ寄せしていることは重大です。こんな本末転倒の事態になっているのは、「一体改悪」のいう「介護・在宅」重視とは、社会保障費削減のため、病院・施設からの“利用者の締め出し”に主眼があるからです。

 「一体改悪」は、「団塊の世代」(1947〜49年生まれ)が75歳以上になる2025年に医療・介護の施設利用者を大幅に抑制する目標をたてています。病院入院=約30万人・介護施設=約60万人の利用者(1日当たり)を抑える大規模な計画です。この政策を実行する仕掛けが今回の報酬改定のなかにたくさん盛り込まれています。

 ▽重症者の受け入れ比率が低い病院の報酬を下げる▽要介護度の高い人が少ない特別養護老人ホームの評価を下げる▽「在宅復帰率」の低い老人保健施設の報酬を下げる―。いずれも中軽度の患者・介護利用者が多い病院・施設の経営に打撃を与えるものにほかなりません。

 「在宅の受け皿」として厚労省が売り物にしている24時間の「定期巡回・随時対応サービス」は同省予測でも12年度は全国で1日6千人程度しか利用できないお寒い体制です。利用者に必要なサービスが提供される保障もなく新たな負担になる恐れもあります。

充実への転換こそ急務だ

 厚労省は診療報酬改定で管理栄養士を配置しないと入院医療ができなくなる方針を機械的に医療機関に義務づけています。対応できない中小病院も少なくありません。地域医療を担う病院に困難を強いる改悪は逆行そのものです。

 報酬改定を「一体改悪」推進の道具にしてはなりません。病院・施設でも在宅でも安心の体制を構築することが急務です。利用者の負担増にならないように窓口・利用者負担の軽減と合わせ、報酬と国庫負担の大幅引き上げへ転換することが求められます。


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