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2012年5月4日(金)

風評被害 続くのに…

少ない原発賠償金にも課税

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 東京電力から福島原発事故の被害者に支払われた損害賠償金を国が所得とみなして課税することに対して、被害者から「事故を起こした反省がない」「復興を支援する気があるのか」と怒りの声があがっています。課税されれば、これから支払う住民税や国民健康保険料などにも影響し、今年度以降も続く大問題です。


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(写真)原発賠償金をすべて非課税とするよう政府に要請する全国商工団体連合会の人たち(右側4人)と、(左から)大門実紀史参院議員、高橋ちづ子衆院議員=1月26日、東京・霞が関

 政府は、賠償金のうち避難生活などによる精神的損害への慰謝料や避難・帰宅費用などは非課税としていますが、営業停止や風評被害などの減収分に対する賠償金は課税対象にしています。3月の確定申告では、泣く泣く申告した人が相次ぎました。

 社会保険料の滞納処分として、福島県の酪農家が、年金事務所から滞納額を超える賠償金を全額差し押さえられる事態もおきています。

 福島市でナシやリンゴを栽培する農家には、価格下落などの減収分約300万円が支払われました。「風評被害はいつまで続くか先が見えないが、作業は続けなければいけない。そんななかで不十分な賠償金にまで課税するなんて、被害者を支援する気持ちがあるのか」と語ります。

◇  ◇

 財務省主税局は「減収分への賠償は本来働いて受け取るはずだった分を別の形で受け取ったものだから、課税することになる」と説明します。

 これに対し、福島県農民運動全国連合会の根本敬事務局長は「賠償金は減収分だというが、資産である農地を壊され、汚染された所で作業しなければならないし、精神的被害もある。賠償金は、そういう被害の一部にすぎません。資産や精神的被害への賠償は非課税になっています。そもそも復興支援というなら非課税にすべきです」と話します。

 福島県は昨年7月に出した要望書で「(賠償金は)所得とみなさないよう、立法措置も含めた特別の取り扱いを行うこと」と国に求めており、“賠償金は非課税に”との要求は「オール福島」の願いです。

 福島県商工団体連合会の佐藤松則事務局長もこう指摘します。

 「原発事故は、国に大きな責任がある。賠償金も原子力損害賠償支援機構を通じ国が支出していて、通常の民間同士の賠償とは違う。過去にも、宮崎県での口てい疫や水俣病、オウム真理教の被害者に対する手当金などで非課税とした事例はある。非課税とすべきです」

◇  ◇

 日本共産党の大門実紀史議員は3月28日の参院財政金融委員会で、政治の決断が求められると迫り、議員立法や租税特別措置で非課税にすることを提起。安住淳財務相は「いろいろ検討させていただきたい」と答えました。

 差し押さえ問題では田村智子議員が2月7日の参院予算委員会で「賠償金は事業をつなぐ頼みの綱だ。全額取り上げるやり方は許されない」と追及しました。小宮山洋子厚労相は調査を約束し「滞納額以上の差し押さえは差額を返還する」と答弁。年金事務所は現在調査中としており、酪農家は異議申し立てを行っています。


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