「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年4月17日(火)

アフガニスタン

武力攻撃 治安部隊が制圧

タリバン声明「今後も」

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 【ニューデリー=安川崇】アフガニスタンの首都カブールで起きた反政府武装勢力の攻撃は、16日も散発的な爆発や銃撃が続きましたが、アフガン治安部隊によって制圧されました。攻撃はこのほかに少なくとも3州で発生しました。

 同国のモハマディ内相は16日の記者会見で、拘束した武装勢力の1人の供述として、同勢力がパキスタンとアフガニスタンの国境付近に拠点を持つ武装勢力ハッカニ・ネットワークに所属していることを明らかにしました。

 また武装勢力の襲撃や治安部隊との交戦で、民間人3人と治安部隊の8人が死亡したと発表。武装勢力の死者は36人に上っています。

 反政府武装勢力タリバンは声明で今回の攻撃を、民間人10人以上が死亡した米兵の銃乱射事件や北大西洋条約機構(NATO)軍基地での聖典コーランの焼却などに対する報復だと主張。「春の一斉攻撃」は今後も続くと警告しています。

 カブール中心部では昨年9月にも、武装勢力が建設中のビルに立てこもりロケット弾などで攻撃する事件が発生。アフガン治安部隊の能力不足を指摘する声もあります。

 米国などは2014年までに治安権限をアフガン側に移譲し戦闘部隊を撤退させる計画ですが、ロイター通信は「今回の攻撃で、米国がアフガン戦争に勝利しつつあるという主張には疑問符が付いた」と指摘しています。


解説

米軍撤退戦略に暗い影

進まぬ治安改善

 各国大使館が集中し、アフガニスタンで最も警備が厳重なはずの首都カブール中心地を反政府勢力タリバンが襲撃したことは、2014年末までに予定している同国政府への権限移譲を前に、治安改善が欧米諸国の思惑通りに進んでいないことを示しています。

 カルザイ政権は今年に入り、駐留外国軍の不祥事に対する国内の批判の高まりを受け、米軍を主体とする国際治安支援部隊(ISAF)の規模縮小に努めてきました。一方、欧米諸国にとって、アフガンでの長引く戦争は経済的重荷になっており、早々に撤退したいというのが本音です。

 カルザイ大統領は先月15日、アフガンを訪れたパネッタ米国防長官との会談で、「全ての治安権限を受け継ぐ用意がある」と権限移譲の加速を要求。パネッタ氏も「できる限り早く」移譲したいと応じていました。

 米国は昨年末から、治安権限移譲が円滑に進むようタリバンとの和平路線を模索。タリバンは対話に応じる姿勢を見せつつも、政府や国際部隊に対する自爆テロや襲撃を繰り返しました。アフガン軍や警察の能力向上を理由に撤退の前倒しも検討してきた米国ですが、今回の武装攻撃がその道筋に影を落とし、戦略の練り直しを迫られる可能性もあります。 (野村説)


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって