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2012年4月11日(水)

きょうの潮流

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 カナダの東端に近いケープブレトン島。すぐ西に、「赤毛のアン」の舞台プリンスエドワード島が浮かびます▼劇団民芸が上演中の「マギーの博物館」は、ケープブレトンの炭鉱町の、一家の物語です。日色ともゑさん演じる主人公マギーは、一家の娘です。彼女は、赤毛のアンみたいに才気走った女性ではありません▼少女のような屈託のない優しさの中に、貧困にめげないたくましさを秘めています。彼女は、炭鉱で働き生きるためにたたかった、一家3代の博物館をつくります。人の度肝を抜く生々しい展示が、家族への愛情と“忘れないで”の思いの深さを伝えるのです▼マギーのおじいさんは、「じっちゃん」とよばれます。スコットランドから渡ってきた一世代目です。胸を患い、いつも床に伏し、うめく以外は声も出ません。塵肺(じんぱい)です。日本でも、炭鉱やトンネル工事で働く人を苦しめました▼田口精一さん演じるじっちゃんに、役名はついていません。実は話せるのではと問われ、彼は紙に書きます。“オレなんか何をいっても誰も聞かない”。名のないじっちゃんは、支配者に体と心の両方から沈黙をしいられた、世界の民の象徴かもしれません▼民の声は、おしつぶされがちです。しかし、じっちゃんは、ストライキをたたかうかどうか議論する孫たちに書きます。“こんな時たたかわなくて、どうする”。世代を超えた連帯とマギーの“彼らを忘れないで”の叫びがあいまって、劇は、つらい現実の多い現代日本を照らします。


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