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2012年3月19日(月)

「橋下・維新の会」国政進出を問う インタビュー

北海道大学大学院准教授 中島 岳志さん

ガラポン幻想と既得権益攻撃

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 アンケートと称した市職員への「思想調査」など、橋下徹大阪市長が進める独裁的な“政治手法”について、北海道大学大学院の中島岳志准教授に話を聞きました。


写真

(写真)中島岳志准教授

 憲法違反の「思想調査」などで市職員を攻撃する橋下徹大阪市長に、なぜ20〜30代の若者の支持が集中するのか。背景には、二つの意識形態があると思います。

 一つは「ガラガラポン幻想」です。

 橋下「維新の会」の「維新八策」の内容は、何十年も前から見飽きてきた新自由主義・構造改革の焼き直しです。ヨーロッパでは90年代の終わりに終わっています。日本でも2009年の政権交代でパラダイムシフト(社会全体の価値観の変化)が起きるはずでした。リーマン・ショックや「年越し派遣村」を受け、世論の大半が小泉「改革」はおかしいと思い、新自由主義にノーをつきつけた。

 ところが政権交代後の民主党政権があまりにもふがいなく、自民もダメ、民主もダメとなったとき、冷笑主義(シニシズム)が加速しました。そこから、現状をガラガラポンしてほしいという一種の英雄待望論が出てきているのだと思います。

 もう一つは、インターネット上で「リア充批判」=(ネット上の仮想空間ではなく、リアルな現実の生活が充実している人間への批判)と呼ばれるものです。いわば既得権益バッシングです。

 生まれた境遇も学歴も自分とあまり変わらないのに、たまたま公務員などの安定労働者になったような人たちを攻撃する傾向です。

 橋下氏や「大阪維新の会」がうたう「グレートリセット」(壮大なやり直し)や公務員攻撃は、このような「負の感情」に乗じているのです。実際に、橋下氏は知事選で、公務員の「既得権益」こそ大阪の貧困の原因だと攻撃していました。

 しかし、こうした既得権益バッシングでは、公務労働はいっそう非正規雇用化し、民間労働者も低賃金化するという「負のループ(循環)」をもたらすので、貧困層はまったく救われません。

 新自由主義という古い時代への回帰ではなく、真に新しい代替策を示す政治こそ必要なのに、一部の政党や政治家は「維新の会」にすり寄っています。保守派の私でさえ、“共産党だけがマトモなことをいっている”と感じてしまうほどです。聞き手 林信誠


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