2012年3月18日(日)
原発脱却 どうしたら
日本ジャーナリスト会議が討論会
「脱原発、もう一歩前へ。」と題してジャーナリストや市民らが参加した公開討論会が17日、東京都内で開催され、1年を迎えた福島第1原発事故の現状や報道のありかたについて意見が交わされました。主催は日本ジャーナリスト会議で、約240人が参加しました。
原発脱却にどう行動するか―。報告者からは原発をめぐる利権構造の問題点を指摘する声が相次ぎました。
「企業が拝金主義に支配されている。その一つが原発問題だ」。金融機関として初めて「脱原発」を掲げた城南信用金庫理事長の吉原毅さんはこう語り、討論の口火を切りました。「信金の原点はオーウェン以来の協同組合運動。お金の有無にかかわらずみんなが幸せになるのが本来の考え方」と強調。「会社はなんのためにあるのか。今の日本やアメリカは人類史の中でも異端な方向に進んでいる」と話しました。
日本人初の宇宙飛行士で、福島県で有機農業を営んでいた秋山豊寛さんは、「権力は大のために小を犠牲にする。その手段になったのが福島県民です」と大地を汚染された怒りをあらわにしました。「正常稼働でも被ばく労働者を生む。犠牲を前提にする原発というシステムには共通の憤りをもっていい」。
「日本史上で最大最悪の公害だということが明らかになった」というのは原発問題住民運動全国連絡センター代表の伊東達也さん。「原発をなくす国民合意をつくっていくためには、電気料金で結びつく原発利益共同体への認識を深めることが必要」と話しました。
元原子炉設計者の後藤政志さんは、政府の「冷温停止・収束宣言」を「服の上から聴診器をあてるようなもの」と批判。「安全が確証されないという原発の特性を考えると脱却しかない」と語気を強めました。