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2012年3月14日(水)

論戦ハイライト

現代の“踏み絵” 大阪橋下市長「思想調査」

山下議員が追及 参院予算委

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 13日の参院予算委員会で、橋下徹・大阪市長による「思想調査」問題をただした日本共産党の山下芳生議員。憲法と民主主義に照らして許されない無法行為であることが浮き彫りになりました。


写真

(写真)「思想調査」について質問する山下芳生議員=13日、参院予算委

公権力を使い、処分で脅す

驚きと「そうだ」の声 議場騒然

首相「内心の制限、禁止は許されない」

 「憲法19条の『思想及び良心の自由』は戦前の深い反省のうえにたって明記されたものだ」。山下氏がこうただすと、野田佳彦首相は「内心について国や地方公共団体が制限し、禁止することは許されないという趣旨だ。重要と認識している」と答弁しました。

 ところが、橋下徹市長が3万数千人の職員に行った「調査」はどうか。

 ―「組合活動に参加したことがあるか」など市長の業務命令として真実を回答するよう求める。

 ―氏名、部署などを記入のうえ、回答がなされない場合には処分の対象となりうる。

 山下氏が、どこをみても、思想・良心の自由に踏み込むものだとしてパネルでアンケートを示すと委員会室の議員も驚いたように見入っていました。

 山下氏は、ぐるみ選挙や不公正乱脈な同和行政、ヤミ年金など、「大阪市の幹部職員と労働組合の一部にはただすべき問題がある」と強調。だからといって、「すべての職員の思想や考えまで市長が強制的に調査することがあってはならない」と述べました。

 大阪府労働委員会は橋下市長に対し、調査の続行の中止を求める勧告書を出しています。

 山下 不当労働行為があったかどうかを審査するのが労働委員会だ。アンケート調査にどんな問題があると指摘しているのか。

 小宮山洋子厚労相 勧告は「支配介入に該当するおそれのある項目が含まれるといわざるをえない」と勧告書で述べている。

 小宮山氏は、労働組合法7条で労働組合に支配介入してはならないと定められており、憲法28条が定める団結権などの権利を実効あるものとするためだと説明しました。山下氏は、「市長が公権力を使って処分で脅しながら、こういう調査をしているところに重大性がある」と強調しました。

 さらに山下氏は、同調査は憲法19条が保障する「思想・良心の自由」を侵害するものだと強調。「街頭演説を聞いたり」することも含めて「特定の政治家を応援する活動に参加したことがありますか」との問いまであることを示すと、委員会室がざわめきました。

 山下 地方公務員法は、自治体職員が勤務時間外に一市民として街頭演説を聞くことまで禁止しているのか。

 川端達夫総務相 職員が勤務時間外に単に街頭演説を聞くことを禁止するものではない。

 山下氏が、同調査は公務員が自由に行える行動を業務命令で言わせるものだと述べ、自分の意思で参加したのか、誰から誘われたのかを答えさせるなど「まさに『思想調査』そのものだ」と力を込めると、「そうだ」の声があがりました。

 山下 地方自治体の首長でも、憲法や法令に抵触する職務命令を出すことはできない。

 総務相 職務命令は適法でなければならないのは当然だ。

 調査はパソコン入力で、答えたくない質問項目を飛ばせない仕組みになっています。山下氏がそのことを指摘すると、委員会室に驚きの声があがりました。「思想・良心の自由」には「沈黙の自由」も含まれると述べた山下氏は、「沈黙の自由を認めないもので、心の中をあぶりだす、“現代の踏み絵”だ」と批判しました。

 「思想調査の対象は、市の職員にとどまらず、すべての市民と国民に向けられている」。山下氏は、調査では市職員を街頭演説に「誘った人」や職員に投票を「要請した人」の名前まで回答させているとして、「3万数千人の大阪市職員への調査を通じて市民を監視する網の目を張り巡らせようとしている」と告発しました。

 山下 市役所が市民を監視する秘密警察のような組織に変質してしまう。憲法19条の「思想・良心の自由」に照らして絶対に許されない。

 首相 個別の地方公共団体内部の事案なので、当該団体で憲法、法律、条例などに基づき適切に判断し対応されるべきものだ。

 山下氏が「『個別の問題』として逃げたらだめだ。日本の民主主義の根幹にかかわる問題だ」と批判すると、次々と「そうだ」の声があがります。

 山下氏が「大阪市のようなやり方が許されると考えるのか」と重ねてただしても同じ答弁を繰り返す首相に「役人答弁だ」との声が飛びました。

 山下氏は「首相も許されるとか問題がないとは言えなかった」と述べ、データの即時廃棄と職員と社会への謝罪を要求。「いまの憲法の下で、民主主義の日本で、こういう『思想調査』を行い、監視社会をつくることは絶対に許されない」と強調するとともに「日本共産党は、戦前の暗黒時代から今日までどんな弾圧を受けようとも自由と民主主義の旗をおろさなかった党として、民主主義を守る一点で国民と力を合わせ奮闘する」と決意を表明しました。

図

(写真)下線部は山下芳生事務所による


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