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2012年3月12日(月)

工業団地 新規造成を凍結

首相“計画ずさん、環境対策不十分”

ベトナム

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 【ハノイ=面川誠】ベトナム政府が全国の自治体に対して工業団地の新規造成を凍結するよう指示しました。企業進出の不振や環境汚染が直接の理由。公共投資の無駄遣いを減らす目的のほか、農地減少で食糧安保が脅かされるとの懸念があります。


農地減で食糧安保に懸念も

 グエン・タン・ズン首相は5日、「工業団地、輸出加工区、経済特区の開発で、ずさんな計画と運営、インフラの未整備、不十分な環境対策が明らかになった」として、新規造成凍結を指示しました。

 現在、工業団地などは267あり、総面積は760平方キロ。インフラ整備に総額約950億ドル(約7兆8000億円)が投じられました。政府は2020年までに2000平方キロに拡大する計画でした。

新規計画提出へ

 首相の指示により、計画投資省が全国の実態を評価した上で、今年第4四半期(10〜12月)中に新たな計画を提出します。

 昨年の国会では、工業団地の乱立が各省と国の財政を浪費し、農地を減少させ、環境を破壊していると厳しい批判が噴出しました。

 計画投資省は「工業団地は経済成長に寄与した」と反論。昨年末現在で760平方キロのうち65%が進出企業に貸与されたと発表しています。

 この数字についてベトナム経済調査院(政府機関)のチャン・ディン・ティエン院長は最近、「2010年末の貸与率は46%。昨年の投資が不振だったことを考えれば、1年で65%まで跳ね上がるわけがない」と水増し疑惑を指摘しています。

 工業団地開発により、農地の減少が急速に進んだ場合、食糧安保に与える打撃も懸念されています。

 ベトナム政府は、2月に承認した「農業基本計画」で、「食糧安保を確保するために、2020年時点で381・2万ヘクタールのコメ農地を維持し、4100万〜4300万トンのコメを生産する」としています。昨年のコメ農地は410万ヘクタール、生産量は4230万トンでした。

 計画投資省は、農地が工業団地造成に転用されても、農業基本計画には影響しないと主張。「工業団地は農地よりも利益を生む」と言い切ります。

コメ不足の恐れ

 農業・地方開発省のグエン・チー・ゴック栽培耕作局長は現地紙に、「いまベトナムはコメ輸出国だが、最悪の場合は輸入国になる」と懸念。「経済・社会発展のために農地を転用することはあるだろう。しかし、食糧安保が損なわれれば、社会全体が不安定になる」と警告しています。


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