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2012年3月12日(月)

消費税大増税 そこが知りたい

社会保障の財源向き?

欧州並みの税率必要?

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社会保障の財源向き?

  消費税は景気が悪くても安定した税収が確保できるので、社会保障財源にむいているのでは。

  そうではありません。低所得者ほど負担が重い消費税は、社会保障財源として最もふさわしくない税金です。

 「安定」という点では、たしかに、ここ数年、リーマン・ショックなどの影響で景気が落ち込んで、法人税や所得税は減ったものの、消費税はあまり減っていません。その意味では「安定した税」といえます。しかし、「景気が悪くても減らない税」ということは、裏を返せば、「景気が悪くても厳しく取り立てられる税」だということです。

 景気が悪くて給料が減ったり、失業したりすれば、所得税や住民税の負担は減りますが、消費税はそうはいきません。収入がなく、過去の預貯金を取り崩して生活している場合にも、消費税は無慈悲に課税されます。

 景気が悪いときには仕事が減りますから、中小企業は雇用を維持するために、もうけが出ないような割の合わない仕事でも引き受けざるを得ません。それで赤字になれば、法人税や所得税はゼロになりますが、消費税は納税しなければなりません。商品に転嫁できなければ、身銭を切って納めることになります。経営者が身銭を切っただけで足らなければ、従業員の賃下げや人員削減につながる可能性もあります。消費税収が「安定的」だということは、国民各層の犠牲のうえに成り立っているのです。

 消費税を増税して景気が落ち込めば、消費税の税収は増えても、法人税や所得税の税収は減ってしまいます。1997年に消費税を増税したときもそうでした。消費税収が「安定的」だったとしても、税収全体としては、ますます「不安定」になってしまいます。これでは社会保障財源の確保にとってはかえってマイナスです。

グラフ 税収の推移

欧州並みの税率必要?

  「ヨーロッパの消費税率は日本より高い」「社会保障を良くしようと思ったらヨーロッパなみの消費税が必要だ」という人がいます。どう考えたらいいでしょうか。

  たしかに、ヨーロッパの消費税は税率だけをみると20%前後と高くなっていますが、非課税品目や軽減品目がたくさんあり、税収全体に消費税が占める比率は、それほど高くありません。日本の税率を10%にしたら、日本の方が消費税の比率が高くなってしまいます。

 ヨーロッパの社会保障が消費税に支えられているというのも事実に反します。実際には、事業主の社会保険料や、消費税以外の税が占める比率が高くなっています。消費税を増税しなければヨーロッパのような社会保障が不可能だという根拠はありません。

 もともと、ヨーロッパの消費税は、二つの世界大戦の中で、戦費調達のためにつくられた大型間接税から発展したものです。また、戦後ヨーロッパの経済的な統合をめざす流れの中で、各国の税制の調和をはかるために、全ヨーロッパに広がったという背景もあります。歴史的・地理的にまったく違う日本がまねをしなければならない理由はありません。

グラフ 社会保障財源の国際比較

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