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2012年3月2日(金)

きょうの潮流

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 海賊の宝の地図を手に入れた少年が、おとなたちに交じって宝の島をめざす。航海に、海賊の手下が潜り込んでいて…▼イギリスの作家スティーブンソンの小説、『宝島』です。洞くつの金貨の山にたどりつくまでの冒険の数々が、読み手の胸を躍らせます。運んでみれば、イギリスやフランスはもちろん、世界中の金貨がざっくざっく▼宝島の原型といわれる島があります。カリブ海のキューバの南、イギリス領ケイマン諸島です。かつて海賊たちは、諸島の一つ、ケイマンブラック島の洞くつに宝を隠していたそうです▼いまもケイマン諸島に、世界中のお金が集まります。海賊ではなく、外国の資本が入ってきます。税金のかからない租税回避地(タックス・ヘイブン)だから。租税回避地は、当局の監視の目も届かず、マフィアなどの怪しげな金の隠し場所にもなっています▼124社分2100億円の年金資金の運用を任されていた投資顧問会社AIJは、おもにケイマンに資金を持ち込んでいました。それがほとんど消えてしまった、といいます。株式などの運用の失敗なのか。どこかに流用したのか。当局は、「運用でもうかっている」とだまし続けてきたAIJを、まともに検査していませんでした▼運用をたのんだ会社には、経営のきびしい中小企業が多い。『宝島』の少年は考えます。海賊は宝を集めるのに、どれほど人を犠牲にし人を偽ったか、と。いま、誰かの利益のためにそんなことをしている者は、さながら金融賊です。


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