2012年2月18日(土)
シリアに暴力停止要求
国連総会が決議
事務総長が歓迎の声明
国連総会は16日、アサド政権による住民弾圧が続くシリア情勢について討議し、すべての暴力を速やかに終わらせ、国民を保護するよう同政権に要求する決議を賛成137、反対12(ロシア、中国など)、棄権17で採択しました。同決議に拘束力はありませんが、シリア政府に対する国際社会の強い非難が示されました。
国連広報部の発表によると、決議は同政権による「広範で組織的な人権侵害」が継続していると非難。その内容として、民間人に対する武力行使や一方的な処刑・拘束、メディアへの妨害などを列挙しています。
安全保障理事会では4日、アサド政権を非難し、大統領に権限移譲を求めたアラブ連盟の「行程表」を支持する決議案がロシアと中国の「拒否権」で廃案となっていました。
総会で採択された決議は安保理の決議案とほぼ同じ内容。ただアラブ連盟が求めていた国連との合同平和維持部隊の派遣は盛り込まれていません。また決議はシリア問題で特使を任命するよう国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長に求めました。
アラブ諸国を代表して決議案を提出したエジプト代表が演説。シリア情勢は「重大だ」との認識を示し、決議案は紛争の平和的解決という原則に基づいたものだと強調しました。
これに対しシリア代表は、憲法改正の国民投票を26日に実施するなど、改革の要求にはこたえていると強調。「一部の国がシリアの反政府勢力を支援している」と非難しました。
潘事務総長は決議の採択について報道官を通じて声明を発表し、「待ち望んでいたメッセージだ」と歓迎。「シリア政府に対し、国際社会の呼び掛けとシリア国民の声に留意するよう求める」と表明しました。