2012年2月16日(木)
選挙制度 座長私案
協議会の経緯に逆行
民主党の樽床伸二氏が示した、衆院選挙制度に関する各党協議会「座長とりまとめ私案」は、座長としての「とりまとめ」の形をとりながら、民主党の主張する「比例定数80削減」をストレートにもちこんだものです。しかも「政治家が自ら身を切る姿勢を率先して示すため」と私案に書き、民主党の「一体改革素案」とまったく同じ理屈づけをしています。民意を反映するための議席削減を、国民に消費税増税を押し付ける“地ならし”とすること自体が筋違いであり、すべての党が「民主主義破壊の暴挙」と批判してきたものを「とりまとめ」にもりこむ姿勢そのものが問われなければなりません。
この間、各党協議会で多くの党が問題にしてきたのは、4割の得票で7割の議席を占め、民意をゆがめる現行小選挙区制そのものであり、抜本改革の必要性です。
現行制度に問題があることは、民主党以外の各党の共通した認識であり、世論調査でも7、8割の人が抜本改革を求めています。にもかかわらず、座長私案は、民意をゆがめる「現行の並立制」を前提にして、「比例削減に伴い民意が過度に集約されることを補正する」などといっています。いま民意をゆがめていることが問題になっているのに、さらに比例削減で民意をゆがめるというのは、議論の経緯に逆行するものです。
また、現行制度で小選挙区の区割り審(衆院選挙区画定審議会)が、10年毎の国勢調査結果をふまえ1年以内に新たな区割案の勧告をおこなうと規定していることから、国勢調査速報値発表から1年の2月25日を期限として“決着”を急ぐ動きがありますが、いま議論しなければならないのは、現行制度の抜本改革です。
座長私案は、小選挙区間の格差是正「0増5減」を緊急措置と位置づけ、「抜本改革」は「次期総選挙後、9次選挙制度審議会を設置し検討する」としていますが、小選挙区間の格差是正の区割だけを先行させる議論は、結局、小選挙区制を維持・固定化し、抜本改革の議論を棚上げしてしまうものにほかなりません。
(国会議員団事務局 白髭寿一)