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2012年2月9日(木)

米新戦略優先の再編見直し

矛盾深化 見えない出口

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 8日に発表された在日米軍再編見直しの「共同報道発表」は、グアムへの海兵隊移転を「日米同盟におけるアジア太平洋戦略の不可欠の要素」だと強調しました。アジア太平洋重視のオバマ米政権の新たな国防戦略に忠実に沿った動きです。しかし、普天間基地問題の原点は後景に追いやられ、出口は見えていません。 (榎本好孝、竹下岳)


 2006年5月の米軍再編計画は、辺野古に最新鋭の海兵隊航空基地を建設するとともにグアムにも海兵隊基地を同時に建設する“一石二鳥”を狙ったものでした。

 そのため同計画は(1)普天間基地に代わる辺野古の新基地建設(2)在沖縄米海兵隊8000人のグアム移転(3)嘉手納基地(同県嘉手納町など)以南の基地の返還―を「統一したパッケージ」と規定。なかでも辺野古を最優先課題としていました。

 ところが、辺野古の新基地建設は沖縄県民のたたかいで阻止。米議会は昨年、(1)「普天間移設が進展しない」(2)アジア太平洋全体の米軍再編計画が示されていない―ことを理由にグアム移転経費を全額削除しました。“一石二鳥”どころか、“二兎(と)を追うものは一兎をも得ず”になりつつありました。

中国念頭に

 一方、オバマ大統領は今年1月の新たな国防戦略で、中国を念頭に豪州への海兵隊配備などアジア太平洋地域の増強を表明。「共同報道発表」でも、中国から離れているグアムを念頭に「地理的により分散し、運用面でより抗甚性があり、かつ、政治的により持続可能な米軍の態勢を地域において達成する」としています。

 日米双方とも、辺野古の新基地建設に固執する姿勢は変えていません。しかし、県民の反対で辺野古が進まなくても、グアム増強は何としても実行する―。このため、辺野古「移設」とグアム移転を切り離し、「柔軟に」(玄葉光一郎外相)対応できるようにしたのです。

 オバマ政権は13日に発表する予算教書で、当初より規模を縮小した上で、グアム移転経費を再度、計上する予定です。

1万人残留

 ただ、グアム移転経費が了承される見通しはありません。それは、米議会がグアム移転経費を拒否したもう一つの理由―アジア太平洋全体の新たな兵力配置が示されていないからです。

 実際、「共同報道発表」でも、沖縄から移転するとした海兵隊8000人の具体的な配分について一切書かれていません。

 この8000人のうち大部分は、「返還」対象とされている沖縄本島南部の基地に所属。新たな配置先が決まらない限り、嘉手納以南の基地返還も見通すことができません。

 何より、辺野古「移設」が進まないからと言って、事実上の普天間「固定化」に傾けば、沖縄県民との矛盾はさらに高まるものとなります。

 「共同報道発表」は、今後も「沖縄に海兵隊は必要」という前提から、1万人を残す考えを示しています。この前提自体を変えない限り、単なる「再編計画の調整」では、出口は見えてきません。

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