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2012年2月8日(水)

米軍機の低空飛行 中・四国で深刻な爆音被害

子どもが悲鳴 最低安全高度に抵触

会話できない 消防防災ヘリの安全性脅かす

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 米軍機の低空飛行訓練が中国・四国地方を中心に激しさをみせています。深刻な爆音被害や事故の危険にさらされている自治体では、住民の暮らしや安全を顧みない危険な飛行に怒りの声をあげ、日米両政府に訓練の中止を強く求めています。 (榎本好孝)


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(写真)米軍機が上空を低空飛行した作木小学校の校庭(広島県三次市)

広島

 昨年12月20日午後1時半ごろ、広島県三次(みよし)市の作木小学校の真上を、米軍機2機が爆音をとどろかせ、超低空で通過しました。昼休みで多くの子どもがいた校庭は「多大な恐怖」(同市要請書から)に包まれ、悲鳴を上げる子や泣きだす子もいました。

 日本共産党広島県委員会調査団の測定では飛行高度は200メートル以下。航空法が定める最低安全高度(300メートル)に抵触していたのは確実です。

 広島県はこの4日前の16日、同年4〜9月期の低空飛行情報が調査開始以来2番目の多さ(103日・675件)に上ったとして日米両政府に中止要請をしたばかりでした。

 事件を受けて広島県は、米軍機の低空飛行訓練について学校施設などに「妥当な考慮を払う」とした日米合意に違反していると両政府に抗議(27日)。三次市も「到底容認できず極めて遺憾」として低空飛行訓練の中止を求めました。(22日)

 今年1月、県に在日米大使館の返書(11日付)が届きましたが、内容は“米軍機の低空飛行訓練は日米同盟に必要”と開き直るもの。謝罪の言葉は一切ありませんでした。

島根

写真

(写真)島根県浜田市旭町の上空を低空飛行するFA18戦闘攻撃機=昨年9月13日(浜田市役所旭支所提供)

 広島と似た事態は島根県でもありました。

 昨年9月29日午後0時20分ごろ、米軍機が島根県浜田市の佐野小学校上空を低空飛行。給食準備中の子どもたちは「恐怖におののき」、「恐ろしさのあまり、床に伏した子」も。「大人も恐れるような轟音(ごうおん)で、職員室での会話もできないほど」でした。(同市要請書から)

 市はこれまでも県を通じ低空飛行訓練の中止を要請してきましたが、今回の事態を受け初めて市長名で日米両政府に中止を申し入れました(11月2日)。ところが、翌3日の午後9時20分ごろから約30分にわたり同市旭町で低空飛行の爆音が発生。「落雷に匹敵する衝撃波的な音」もあったとし、再び低空飛行訓練の中止を要請しました。(11月29日)

 12月には、実態告発のため旭支所に騒音測定器を設置。今年1月も「(大声でも会話困難な)90デシベル、80デシベルの騒音が測定されている」(担当者)といいます。

高知

 四国でも、高知県や徳島県で低空飛行が増えています。

 高知県では昨年12月、自治体からの報告が29回36機と過去4年間の月別回数で最高を記録。低空飛行が頻繁な同県北部・嶺北地域の4町村(大川村、土佐町、大豊町、本山町)は同月28日、首長4氏の連名という異例な形で、中国四国防衛局に対し中止要請書を提出しました。

 11月29日には、本山町の嶺北中央病院で消防防災ヘリの訓練と同じ時間帯に3機の低空飛行が目撃されました。県は今年1月19日、「飛行ルートや時間の告知もなく行われる超低空飛行は、当該空域で年間40回以上活動する消防防災ヘリやドクターヘリの航行の安全性を脅かす」と、「即刻中止」を日本政府に要請しました。

群馬でも

 中国・四国地方で低空飛行訓練をしているのは、主に米海兵隊岩国基地(山口県)の所属機や米原子力空母ジョージ・ワシントン(GW)の艦載機です。昨年12月ごろから激しさを増しているのは、GWが11月下旬に母港の米海軍横須賀基地(神奈川県)に帰港し、艦載機が訓練を始めたためです。

 空母艦載機は群馬県でも激しい訓練を始めています。県内の米軍機などの騒音・飛行への1月の苦情は164件に上っています。

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