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2012年1月29日(日)

きょうの潮流

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 ベートーベンが「荘厳ミサ曲」(ミサ・ソレムニス)をほぼ完成させたのは、190年前の1822年といわれます。足かけ4年を費やしました▼先ごろ、翌年夏のベートーベンの手書きの手紙が発見されました。パリに住む作曲家あてです。ミサ曲の楽譜の買い手探しを手伝ってほしいと頼み、日ごろの苦しさを訴えています。日々重くなる病への恐れや、彼が後見人になっていたおいの学費にも困る貧困です▼当時ベートーベンは、同様の手紙を作家ゲーテなど多くの人に送っています。骨折りのかいなく、ミサ曲購入の予約は少なく、収入はわずかでした。新発見の手紙に1000万円のねうちがあるという報道を知れば、彼は目をむくでしょう▼しかし、「ミサ・ソレムニス」は時代を超え生き続けます。たとえば第5曲「神の子羊」。途中で突然、打楽器の連打に軍楽のようなトランペットの響きが重なります。おののく歌唱。やがて戦のように不穏な空気は払われ、曲を閉じます。「われらに平安を与えたまえ」と▼ベートーベンは、「神の子羊」の楽譜に「内と外の平和への願い」と記しました。彼はミサ曲に続き、人類愛をうたいあげる第9交響曲にとりかかるのです。弟子の一人は、ミサを作曲中の師についてこう回想しています▼“かつて、このように偉大な芸術作品がこういう不幸な生活状態でつくりだされたことは決してないだろう”。逆境の中から人類の幸福のためにふるい立つ彼の姿も、時代を超えて人の心をうちます。


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