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2012年1月22日(日)

戦時ストレス 米兵蝕(むしば)む

性犯罪・自殺が急増

陸軍が報告書

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 米軍兵士や退役者による性犯罪や、自殺が急増しており、その背景に、長期にわたりアフガンやイラクでの戦争に従事したことによる戦時ストレスがあることが、18日に発表された米陸軍の報告書で明らかになりました。


 今回の報告書は、2010年に出された兵士の健康促進や自殺防止などに関する包括的対策に続く二度目のもの。米陸軍参謀本部のキアレッリ副議長は序文で、報告書を「兵士とその家族、退役者の最近の健康問題と規律の状況を伝えるもの」と性格づけ、「兵士の多くは、多くの戦闘に起因するけが、病気で苦しんでいる」と指摘。長期の戦闘が兵士の心身を蝕(むしば)んでいることを認めています。

 陸軍兵士の自殺(グラフ参照)では、兵士10万人あたりの比率で、イラク戦争が始まった2003年が11・5であったものが、09年には21・9へと大幅に上昇しました。自殺者実数を年ごとにみると、06年に100人に達し、その後、09年の162人へと増加の一途をたどっています。なかでも一回以上の実戦配置経験のある兵士のなかでの自殺者が目立っています。

 報告では、陸軍と海兵隊での自殺者の比率が10万人当たりで20を超えていることを指摘。海軍や空軍に比べて高い要因として、「戦闘に関連したストレス」を挙げています。

 現役兵士や退役者による性犯罪の増加は顕著です。報告では、06年から11年にかけての5年間で、陸軍兵士が加害者となった凶悪な性犯罪が665件から1313件へと、ほぼ倍加したことを挙げています。

 現役兵士のなかでは、過度の飲酒にともなう性犯罪が増加。イラク、アフガンの退役者を対象にした10年の調査では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)が、ベトナム戦争退役者調査(07年と09年に実施)の1・9―3・1倍となり、配偶者やパートナーに攻撃的になる傾向が目立っていることを報告は指摘しています。

 軍隊内の性犯罪では、被害者の間にストレス障害が広がり、女性の退役者の20―40%ほどが、PTSDに悩まされていることを指摘しています。

 薬物の使用は、06年から11年にかけて、毎年7000―8000件発覚し、この間の合計では5万件を超えています。これに所有や販売などを加えると、同じ期間で年1万1000―1万2000件となっており、軍隊内部での薬物使用が深刻化していることを示しています。

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