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2012年1月21日(土)

保育「新システム」とりまとめ案

崩れた制度改変の口実

狙いは公費支出抑制

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 20日に示された「子ども・子育て新システム」とりまとめ案は、なぜ保育制度を変えるかという根拠が総崩れとなったことを示しています。

 民主党政権は幼稚園と保育所を一体化して“二重行政や待機児童を解消”することを目的に掲げてきました。しかし、役割も歴史も違う幼稚園と保育所を一体化するには丁寧な議論が必要です。強引に議論を進めたものの、結局、一体化する「総合こども園」のほかに、幼稚園と3歳児未満の乳児保育所を残すことになりました。それぞれ内閣府、文部科学省、厚労省が所管する三重行政がうまれます。

 一体化の“売り”だったはずの待機児童解消もほとんど見込めません。待機児童の8割以上を占めるのは3歳未満児ですが、一体化する「総合こども園」には3歳未満児の受け入れを義務付けないからです。

責任放棄

 「新システム」導入の口実が崩れてもなお、制度「改正」を急ぐのはなぜか。

 鹿児島大学の伊藤周平教授は「新システム」の狙いは、「増え続ける保育需要に対して、なるべく公費を支出しないで対応できる仕組みをつくることにある」と指摘します。

 新制度案は批判が出るたびに修正を繰り返し、複雑な制度設計になりました。しかし、一貫して変わらないのが施設と利用者の直接契約、利用者補助方式です。

 直接契約によって、市町村は保育を実施する当事者からはずれます。児童福祉法24条の、市町村は保護者から申し込みがあったときは「保育所で保育しなければならない」との文言も削除し、国と市町村が保育を提供する責任を放棄します。

 「新システム」では、市町村の役割は保育の必要性の認定と利用料の一部補助だけになり、保育の供給量や質は市場原理にゆだねます。児童福祉としての公的保育を解体し、市場任せの“商品”に変質させます。

質が低下

 小さい子どもを抱えて保育所探しに走り回り、どこにも入れなくても親の「自己責任」です。通える保育所も親の経済力に左右され、格差が持ち込まれます。運営費の保障がなくなるため、人件費の切り縮めで保育士の待遇が悪化する強い懸念があります。

 ひいては保育の質の低下を招きます。犠牲になるのは子どもたちです。

 さらに「新システム」は財源を消費税増税に求めているため、制度を改善したいなら増税が必要という、最悪の二者択一を強います。“子育て支援”とは無縁です。

 保育を市場化するという「新システム」の本質が広く知られるにつれ、全国各地で反対の世論が強まっています。保育3団体(日本保育協会、保育協議会、私立保育園連盟)の地方組織も反対の声を強め、自民党も反対を決めています。強引な法案提出は許されません。(鎌塚由美)


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