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2012年1月19日(木)

正体見えた「身を削る」論

少数党締め出し、民意封殺

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 野田佳彦首相は、消費税大増税と社会保障切り捨ての「一体改革」を「必ずやりきる」と気炎をあげ、そのため比例定数削減を強行しようと前のめりになっています。

 しかし、民意を反映させるための議員定数を、消費税大増税の取引材料として扱うことに一片の道理もありません。

根本的な変質

 国会の議席は、民意を国政に反映する手段であって、時の政治家が勝手に切り売りできる私物ではありません。

 しかも、比例代表部分は、現行選挙制度のなかで、有権者の一票の積み重ねが政党の議席に結びつく、もっとも民意を反映させる制度です。民主党も“小選挙区制は民意の集約、比例は反映”と言ってきました。その比例代表定数を80も削減するというのでは、選挙制度の根本的な変質につながります。

 選挙制度をめぐっては、昨年秋から全政党が参加する協議会が設置され、小選挙区制の抜本的見直しが焦点になっています。増税論と引きかえに議論をすべて押し流すやり方は、各党協議会の土台すら壊す暴走です。

 なぜ、比例部分の削減なのか。岡田克也副総理はかつて、「比例を中心にすると結局は第3党が主導権を持つことになって、かえって民意をゆがめられる」(09年9月、当時幹事長)と述べ、安住淳財務相も「少数政党に鼻面を引き回されて、本当に公正なのか」(05年8月)と語っていました。比例削減の狙いが“少数政党の締め出し”にあることは明瞭です。

税金漬け政党

 比例定数80削減は、同党がマニフェスト(政権公約)に一貫して掲げてきた方針です。“ムダをなくしてほしい”という国民の憤りと願いに乗じて、この際とばかりに誘導していくやり方は絶対に許されません。

 野田政権・民主党は財界・米国にいわれるまま、消費税大増税や米軍普天間基地「移設」など自民党政治に逆戻りし、暴走。「自民党政治を変えてほしい」という政権交代に託した国民の願いを完全に裏切っています。抵抗する民意とこれに連帯する政党を国政から排除し、財界・アメリカいいなり政治か、それをやめさせるのかという真の対決軸を消し去る―これが「身を削る」論の正体です。

 一方で、民主党は、政党助成金の削減には手をつけず、“聖域”扱いする構えです。民主党は本部収入の82・7%を政党助成金に依存する“税金漬け政党”なのに、「身を切る」決意の底が知れます。

 「やるべきことはやり抜いて民意を問う」。首相は定数削減や消費税大増税への決意をこう豪語して見せます。しかし、問われるべき民意が、すでに比例定数削減によって封殺されているのでは、本末転倒です。民主主義破壊の暴挙を食い止める、新たなたたかいが急がれます。(竹原東吾)


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