2012年1月14日(土)
ミャンマー 国民和解へ前進
全政治囚を釈放
少数民族と停戦合意
【バンコク=面川誠】ミャンマー政府は13日、テイン・セイン大統領の特赦で、民主化運動の有力指導者の一人であるミン・コー・ナイン氏(49)ら政治囚多数の追加釈放を始めました。12日には同国最古の少数民族武装組織・カレン民族同盟(KNU)と停戦合意。民主化と国民和解への動きがさらに前進しました。
昨年3月に旧軍政勢力を基盤に発足したテイン・セイン政権にとって、民主化と国民和解は、欧米諸国などによる経済制裁を解除させる条件を整える意味もあります。
ミン・コー・ナイン氏は1988年の反軍政民主化運動で学生指導者として活動し、89年に投獄されました。2004年に釈放されましたが、07年の反軍政街頭行動で禁錮65年の刑を受けました。
同氏は国民民主連盟(NLD)を率いるアウン・サン・スー・チー氏(66)の後を継ぐ次世代指導者として影響力を持っているといいます。釈放が実現するかどうかは、民主化の進度を測る尺度として注目されていました。
ニャン・ウィンNLD報道官は「591人すべての政治囚が釈放されたと思う」と述べました。
一方、ミャンマー政府は12日、東部カイン(カレン)州の州都パアンでKNUと停戦合意文書に署名しました。政府は現在、10の少数民族武装組織と和平交渉を進めており、KNUを含めて6組織と停戦合意に至りました。
KNUのソー・デービッド・トウ副代表はロイター通信に対し「住民は長い間、戦争の恐怖を味わってきた。今回は平和を満喫できると期待している」と語りました。
同州では大規模な工業団地造成が進行中で、ベトナムからミャンマーに至る東南アジアの幹線道路の一つ「東西経済回廊」が通過する地域です。和平が実現すれば、ミャンマーの経済開発にも寄与すると期待されています。