「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2012年1月12日(木)

主張

大型公共事業復活

将来世代の負担増そのものだ

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 野田佳彦・民主党政権が大型公共事業を次々と復活させようとしています。2012年度政府予算案に、八ツ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)をはじめとする大型開発再開への予算を盛り込みました。09年総選挙で「コンクリートから人へ」と大型公共事業の見直しを掲げた民主党の政権公約は完全に投げ捨てられました。国民に消費税10%という大増税を押し付ける一方で、巨額な税金の無駄づかいに突き進むことは許されません。

推進する根拠なし

 不要不急の大型公共事業の典型といわれ、民主党自身「中止」を主張してきた八ツ場ダムの建設続行を決め、12年度予算案に56億円を計上したことは一片の道理もありません。国と地方合わせて少なくとも9000億円の公金を注ぎ込む全国有数の巨大公共事業を建設推進する根拠のなさは浮き彫りになっています。

 首都圏の水需要は減少の一途をたどり、今後も人口減少によって、「水あまり」になると想定されているにもかかわらず、過大な水需要予測を見直そうともしていません。治水のためという理由も、治水効果がわずかであることが指摘されています。時代背景などが大きく変化するなかで、60年前に決めた事業を推進すること自体が間違っています。

 3年前の民主党政権発足直後に中止表明しておきながら、事業続行の結論しか出さなかった民主党政権の検証作業は国民を欺くものでしかありません。八ツ場ダムの建設計画は見直すべきです。

 1メートルつくるのに1億円もかかる東京外郭環状道路(外環道)練馬―世田谷(約16キロ)の建設にゴーサインを出したことも重大です。地下40メートルの大深度トンネルで建設するだけでも1兆数千億円もかかるため、「世界一高い道路」といわれています。この事業も1966年に計画され40年以上も凍結されてきました。関連道路事業を含めれば2兆円ともいわれ、自動車による大気汚染増大が懸念されるなかでの建設決定は、国民の願いに背くものです。事業仕分けで「廃止」とされたスーパー堤防建設も「縮小」して続行する方向に道を開いています。

 整備新幹線の北海道(新函館―札幌)、北陸(金沢―敦賀)、九州(諫早―長崎)の未着工3ルートの事業費(706億円)も予算化し、総事業費3兆円もの巨額事業を実行することに踏み込みました。在来線の切り捨てにつながり、採算見通しなどの検証も十分されないまま推進する根拠はありません。

 “日本の財政状況が大変だ”といいながら、無駄な公共事業を「聖域」扱いすることは許されません。国と地方の財政に過酷な負担となるだけでなく、完成した施設維持などにも大きな費用が必要となり、将来の世代に重荷となってのしかかります。孫子の時代まで犠牲を強いる「負の遺産」を絶対に残してはなりません。

社会保障財源の確保を

 大型公共事業を続けながら、国民に大増税を強いるなど論外です。いま東日本大震災の救援・復興にも巨額な費用が必要なときに、従来と同じ発想で巨大な事業を続ける惰性から脱却するときです。大型公共事業の無駄を徹底的に洗い出し、原発推進予算、軍事費とともに大幅削減し、社会保障の充実のための財源にあてるべきです。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって