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2012年1月10日(火)

エジプト議会選

自由公正党が第1党

全3回投票の大勢判明

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 【カイロ=小泉大介】エジプト各紙は9日までに、選挙管理委員会の発表をもとに、同国人民議会(下院に相当、定数508のうち選挙選出は498議席)選挙の最終となる第3回投票(3、4の両日実施)の比例代表部分の結果を報じました。全比例得票でイスラム主義勢力・ムスリム同胞団の自由公正党が約36%を獲得し、第1党となることが確定しました。


 エジプト人民議会選は、全体の3分の2が政党(連合)リストによる比例代表制で、3分の1が小選挙区制で実施されました。第3回投票の小選挙区部分は多くが決選投票に持ち込まれており、全議席の確定は今月中旬になる見込みです。

 すべて判明した比例代表の得票では、第2党以下は、超保守主義のイスラム主義政党であるヌール党が約27%、エジプトで最古の歴史を持つワフド党が約9%、左派の国民進歩統一党などの連合「エジプト・ブロック」が約8%で続きました。昨年初めの「革命」後にできた青年らの新政党は少数にとどまりました。

 小選挙区を合わせた獲得議席数では、これまでに判明した427議席のうち、自由公正党が188議席、ヌール党が111議席、ワフド党が37議席、「エジプト・ブロック」が28議席となっています。

解説

初の民主的選挙

 昨年初めの「民衆革命」でムバラク独裁政権が倒れてから最初の人民議会選挙。事実上、エジプトで初めての自由・公正な選挙となりました。

 第1回投票(昨年11月末)結果発表で、選管委員長が「ファラオ(古代エジプト王)時代以来の高投票率」といったように、投票には早朝から有権者がつめかけ、全体の投票率は6割前後に達したもようです。独裁政権下、一昨年の同選挙投票率は実質1割といわれていました。

 「私は今、エジプト人であることに誇りを感じます」、「選挙が新しい民主主義へのステップになってほしい」。有権者のこんな声からは、確実にこの国が変化していることがうかがえます。

 第1党となった自由公正党の母体、イスラム主義勢力・ムスリム同胞団は「イスラムこそ解決策」のスローガンのもとイスラム法(シャリア)に基づく統治を求めてきました。同時に社会の底辺で教育、医療、慈善活動などを行ってきました。ムバラク時代は激しく弾圧されましたが、今回はその歴史と組織力が功を奏しました。

 同胞団は、急進的な政教一致体制を目指しているとみられがちです。しかし今回の選挙にあたっては、キリスト教徒を自由公正党の副党首にあて、「市民社会の建設」を強調するなど、明確に「変化」をみせました。

 自由公正党は第1党になったとはいえ過半数には届かず、同じイスラム主義勢力と連立を組むのか、第3党以下の世俗・リベラル勢力と連立を組むのかが迫られます。同党が国民との約束を守らなければ有権者から厳しい批判を浴びることになるでしょう。

 民主化を目指すエジプト国民には今後も、人民議会による新憲法起草と憲法制定国民投票、6月末までには大統領選挙と、幾多の試練が待っています。その間、実権を握る軍最高評議会がどのような動きを見せるかも予断を許しません。しかし今回の選挙が「長い道のりの最初の一歩」(エジプト紙アルアハラム)となったことは間違いありません。(カイロ=小泉大介)


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