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2012年1月9日(月)

きょうの潮流

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 「…われながら子供っぽいなと思うのだが、それが私なのであり、いまだ子供っぽく、仕事や世の中に立向っているのである」▼作曲家の林光さんは、若いころを振り返る自伝の「あとがき」に、こう記しています。46歳の文章です。新年早々、林さんが80歳で亡くなったと伝えられました。最後までやっぱり、子どものようにまっすぐな気持ちで、民衆の側から世界に立ち向かっていたのではないでしょうか▼林さんの最もよく知られた曲は、マルシャーク作「森は生きている」の劇中歌「十二月(つき)の歌」かもしれません。舞台を観て、おとなも子どもも、「燃えろ 燃えろ あざやかに」と、つい口ずさんだ人は多かったはずです▼反戦に生き、交響曲もオペラもかいた林さんの、「転機になった」という代表作の一つが「原爆小景」です。広島の被爆詩人、原民喜の詩に曲をつけました。「水ヲ下サイ」を27歳で発表し、以来43年間にわたってかき継いだ合唱組曲です▼2001年、4曲目「永遠(とわ)のみどり」で完結しました。「ヒロシマのデルタに/若葉うづまけ…/青葉したたれ」。林さんが当初、“作曲できるはずがない”といった詩句です。詩と、そして人類が初めて体験した被爆の現実と、どれほど格闘してきたのでしょう▼昨年、東日本大震災の後に催された「原爆小景」演奏会に、林さんは次の文章をよせました。「また遠くなってしまった『永遠のみどり』への道。…瓦礫(がれき)の街にも、やがて若葉がうずまくことを、心からねがう」


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