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2012年1月7日(土)

主張

「一体改革素案」決定

前途閉ざす大負担増許さない

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 民主党政権が消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる「社会保障・税一体改革素案」を決定しました。

 社会保障は今年10月から3年連続の年金カットを皮切りに、あらゆる分野の改悪計画を盛り込みました。増税は「社会保障のため」という口実は完全に破たんし、社会保障も税も一体の「改悪」であることがはっきりしています。

財界の要求に“忠実”に

 民主党政権は消費税率を10%にとどめるつもりはありません。「素案」は5年をめどに次の増税に向け「法制上の措置を講じる」と明記しています。政権中枢からは税率15%論も出ています。

 もともと「一体改革」は十数年来の財界の要求です。財界は「税・財政、社会保障制度を一体的に改革することこそが、構造改革の真の本丸」(04年、経団連提言)だとして、社会保障抑制と消費税増税、法人税減税を主張してきました。経団連は消費税について、昨年の税制提言でも15年度までに10%、20年代半ばまでに10%台後半にと求めています。民主党政権は財界の要求を極めて“忠実”に実行しようとしています。

 大企業の税と社会保障負担を減らすために国民に社会保障削減と消費税増税を押し付ける―。「一体改革」は財界の身勝手な要求の具体化にほかなりません。

 野田佳彦首相は「財政規律の維持」(年頭所感)を強調して消費税増税が避けられないかのようにのべています。しかし、財政危機をつくった根源は1990年代に続けられた大型開発と軍事費の膨張、大企業・大金持ち減税による税収落ち込みです。財政規律というなら財政危機の大もとを是正すべきであり、消費税増税ですべてのツケを国民に回すやり方は財政規律の破壊行為です。

 見過ごせないのは「無駄を削れば財源はできる」と公約した民主党政権自らが浪費を拡大していることです。大企業と大金持ちに年間1・7兆円もの新たな減税をばらまき、大型開発を復活させ、1機100億円もの戦闘機を42機も買い込もうとしています。来年度予算案は当初予算としては史上最大の借金予算となり、そのツケも消費税で国民に回そうというのです。財政規律を壊しているのは民主党政権自身です。

 「素案」は増税前の景気が悪ければ引き上げ停止を含む措置を講じるとしています。こんな条項を盛り込まざるを得ないこと自体、消費税増税が経済に大打撃を与えることを否定できない証しです。仮に景気が上向いていても、消費税増税そのものが深刻な不況を引き起こす元凶であることは97年度の消費税増税で思い知らされたはずです。こんな条項は何の歯止めにもなりません。

法案を出す資格はない

 97年度の消費税増税以来、国内総生産は42兆円減り、雇用者所得は34兆円のマイナス、一般会計の税収も10兆円以上落ち込んでいます。「一体改革」の強行は日本経済の前途を閉ざす暴挙です。

 消費税を増税しないと公約した民主党政権には消費税増税法案を提出する資格はありません。

 大型開発や軍事費の無駄遣いを徹底的に是正し、大企業・大資産家への適正な課税を復活させ、応能負担の原則に立って財源を段階的に生み出しながら社会保障の拡充を図る道へ踏み出すべきです。


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