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2012年1月5日(木)

主張

日本経済の岐路

新しい展望を切り開く道へ

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 日本経済は、世界経済危機の深刻化の懸念が広がる下で新しい年を迎えました。

 東日本大震災と原発事故から10カ月、依然として被災者の生活再建も、除染や賠償も大きく立ち遅れています。

 いずれも、これまでの政治と経済の根本転換を迫っています。

欧米経済の「日本化」

 米金融資本の暴走が生み出した証券バブルと過剰消費のバブルが破裂し、金融・経済危機が世界に広がって3年余になります。

 「第二次世界大戦後でもっとも深刻なグローバル・リセッション」―。世界の金融危機の歴史を分析した国際通貨基金(IMF)の元チーフエコノミストらは今回の危機について著書でこうのべています(『国家は破綻する』)。

 「危機の新たな危険な段階に入った」とIMFは警鐘を鳴らしています。金融機関への税金投入、外国資本流出と景気悪化による税収落ち込みなどによって多くの欧州諸国で財政危機への懸念が膨らみました。「新たな危険な段階」の特徴は、庶民増税や社会保障削減という財政再建策そのものが実体経済の悪化を招き、財政を一段と悪化させる悪循環に陥っていることです。

 震源地のアメリカでは大企業の業績が回復しても雇用は回復せず、財政赤字も急増しています。“大企業が潤えば、いずれ雇用と家計にしたたり落ちて経済がうまくいく”というトリクルダウン経済論は完全に破たんしています。

 あくなき利潤追求と生産拡大に熱狂した資本主義諸国は戦後最悪の経済危機に直面しています。その中で日本は欧米主要国と比べても回復が大きく遅れていると昨年の「経済財政白書」は指摘しました。日本経済の脆弱(ぜいじゃく)さが際立っています。長年の対米従属、大企業本位の経済政策の結果です。庶民増税で経済を悪化させて税収も減らし、大企業・大資産家に富を集中させて雇用と暮らしを破壊する路線が内需を抑制しています。

 欧米経済の「日本化」が進んでいると言われる今、日本は輸出主導、海外需要依存の経済戦略にはますます頼れません。環太平洋連携協定(TPP)や大企業・大資産家減税を推進し、社会保障改悪と消費税増税を強行する民主党政権のやり方は日本経済の前途を閉ざす道です。

 震災の復旧・復興では、大企業の利益優先の再建から被災者の生活と生業(なりわい)の再建を最優先する政治への転換が求められます。原発災害では徹底した除染と全面賠償を歳出歳入の見直しと東電はじめ原発利益共同体の負担で実行すべきです。「原発ゼロの日本」へエネルギー政策の転換は不可避です。

大きなたたかいの年

 長期停滞と大震災・原発災害の経験、欧米経済の悪循環は旧来の大企業応援の経済政策から暮らし最優先の経済政策への転換を求めています。不安定雇用を規制して正社員を増やし、大企業と中小企業の公正な取引ルールを確立し、米軍関連など軍事費と大型開発予算にメスを入れ、大企業・大資産家に応分の負担を求めて社会保障を立て直すと同時に財政を安定させる―。経済危機と財政危機を一体として解決していく道に進んでこそ打開の展望が開けます。

 日本経済の前途を閉ざす道を許さず、新しい展望を切り開く道へ、大きなたたかいの年です。


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