2011年12月31日(土)
軍の住民攻撃が激化
シリア 調停案履行に疑問符
【カイロ=小泉大介】シリアでは、アラブ連盟(21カ国とパレスチナ自治政府が加盟)監視団が活動を開始して3日目の29日も軍による激しい攻撃が続き、多数の死傷者が出ました。シリア政府に、アラブ連盟の調停案を履行する意思があるのかが問われる状況となっています。
中東の衛星テレビ・アルジャジーラが人権団体の証言として伝えたところによると、同日、シリア全土で35人が死亡しました。首都ダマスカス郊外で行われた数万人規模の反政府デモに対する実弾や迫撃砲による攻撃で死者が出たほか、監視団が調査に入った都市でも犠牲者が続出。監視団メンバーはアルジャジーラに対し、「状況は非常に危険だ」と述べました。
監視団は、シリア政府が署名した調停案を順守し、軍の攻撃停止、市街地からの撤退、拘束した活動家の釈放などを実施しているかどうか調査しています。しかし監視団が活動開始した27日以降も100人近くが死亡する事態となっています。
一方、シリアの人権団体などからは、アラブ連盟監視団の団長が、自国で住民弾圧、人権侵害を行ってきたスーダン軍の司令官であることから、団長を交代させるよう求める声も出ています。