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2011年12月23日(金)

宗派対立 再燃の懸念

首相、テロ関与で副大統領告発

イラク

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 【カイロ=小泉大介】米政権が戦争「終結」宣言を行ったばかりのイラクで、イスラム教シーア派のマリキ首相が、同スンニ派のハシミ副大統領をテロ関与の容疑で告発、司法当局が逮捕状を出すという事態が起きています。国内では、これが宗派対立の再燃につながりかねないのではないかとの懸念が高まっています。

 マリキ首相は21日に会見し、ハシミ副大統領が滞在する北部クルドの自治政府に対し、同副大統領を引き渡すよう求め、「もしそうせず、彼を自由にさせておくようなことがあれば重大問題となる」と表明しました。

 ハシミ副大統領の容疑は、自身の警護員に政府高官の暗殺を指示し資金を提供していたというもので、19日に逮捕状が発付されました。ハシミ氏は20日の会見で、「神に誓ってそのような罪には関与していない」「これは政治的な攻撃だ」と反論しました。

 イラクでは昨年3月の総選挙後、二大勢力となったマリキ氏率いるシーア派の「法治国家連合」と、世俗派とスンニ派の連合「イラキーヤ」との主導権争いにより、連立政権発足まで9カ月を費やしました。その後も、マリキ首相が国防相、内務相という重要閣僚を兼務したことから、イラキーヤは同首相を「独裁者」だとするなど対立がつづいていました。

 今回のハシミ副大統領への逮捕状発付をめぐり、イラキーヤは閣僚の任務をボイコット。マリキ首相は21日の会見で、次回閣議に出席しなければ解任して新閣僚を任命すると、一切妥協しない姿勢を示しており、混乱が深まっています。

 もともと同国では、2006年2月のシーア派聖廟爆破事件をきっかけに、2年近く「内戦状態」ともいえる状態となった時期がありました。今回の事態は、戦争と分断統治政策にもとづく占領で、深刻な「宗派対立」をつくりだしてきた米国の責任を改めて問うものともなっています。


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