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2011年12月19日(月)

ゆうPRESS

NGO「私たちの環境サミット」

COP17参加で学んだ

東京の大学1年生

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 大学1年生が国際会議デビューを果たしました。南アフリカ・ダーバンで開かれていた国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)にNGOの一員として参加した葉山秀樹さん(19)と黒岩瑛人(えいと)さん(18)です。彼らが会議を通じて学んだものは―。(ダーバン=山田芳進)

世界の動き触れ「やる気」

 葉山さんと黒岩さんは、日本民主青年同盟東京都委員会が呼びかけ、都内の学生を中心に約20人のメンバーで構成するNGO「私たちの環境サミット」(以下、「サミット」)に参加しています。「サミット」は、温暖化の真実、解決のための展望を学び発信するサークルで、デンマークのコペンハーゲンで開かれたCOP15以来、代表を派遣してきました。

自分もやりたい

 高校時代、学校周辺のゴミ拾いボランティアをしていた葉山さん。環境問題については漠然と「大事だな」と思う程度だったといいます。大学生になり新歓で「サミット」のテントを訪れ、COP16に行った代表の活動報告などを見て、自分もやりたいと思うようになりました。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書などを学ぶ中で、温室効果ガス削減を急ぐ必要性や、温暖化対策に後ろ向きな日本政府の姿勢などを知るようになりました。

 代表団に加わる誘いを受けたとき、葉山さんは授業との兼ね合いもあり悩みました。しかし「授業でやらないことを学んで来い」という父親のアドバイスもあり決意しました。

 黒岩さんは、葉山さんのバイト仲間です。3月11日の東日本大震災のあと、メールでいろんな情報が飛び込んできました。「どれが本当か自分には判断する知識がない。もし、政府がパニックを起こさないために情報統制したとしても判断できない。でも、それによって被害を受けるのは自分たち。自分で情報をつかみたい」と思うようになりました。

「原発固執」に強い疑問

 今回は「福島の事故の深刻さを伝えたい、原発を持つ国やこれから持とうとする国にとっての判断材料として正しく知ってほしいという思いで参加しました」という黒岩さん。日本政府が、これだけの事故の後でも原発を推進する立場だと説明すると、海外の参加者からは「クレージーだ」という反応が返ってきました。「政府は誰のためにやっているんだろう」と感じたといいます。

 葉山さんも、海外からの参加者から、政府の姿勢を変えるためには市民が活動をするしかないと言われ、「自分たちがやるんだ、というモチベーションになりました」と語ります。

 また国際原子力機関(IAEA)のブースで職員から「個人的な意見だが、日本は再生可能エネルギーにシフトしても、今は原発なしでも技術的にも電力供給はできると思う」という話を聞いて、「なぜ日本が原子力に固執しているのか。ますます分からなくなりました」と言います。

多くの分野関連

 葉山さんは、今回の参加で「資金など、いろいろな分野が絡み合っている環境問題は、日本だけの問題ではないということがよく分かった」といいます。

 黒岩さんも「環境問題は、何を専攻していてもかかわってくると思います。今の勉強をどうつなげていくのかということについて、大学生からの行動として呼びかけていきたい」と決意を語りました。


頑張る人々の信念見た

「サミット」事務局長 佐川清隆さん

 温暖化問題を理解するためには、温暖化が、その被害を受けている国々の生活や経済そのものを脅かしつつあるという視点が求められると思います。COP17での日本政府の立場は、交渉の前進を妨げるものでした。その中でも、何とか解決しないといけないとがんばっている日本のNGOや科学者の信念を見て、いま大学院で学ぶ自分の将来の生き方についても、改めて考えさせられました。(東京都内の大学院で再生可能エネルギーを専攻)


 COP17 国連気候変動枠組み条約第17回締約国会議のこと。第1回は1995年。97年に日本が議長国となって開かれたCOP3で、温室効果ガス削減目標を実行する「約束期間」を具体的に定めた京都議定書が採択されました。今回、(1)京都議定書第2約束期間を2013年に開始すること(2)条約加盟国(195カ国)すべてを対象に新たな国際協定の交渉を開始し、15年までに交渉を終え、20年の実施をめざす―との合意が成立しました。京都議定書は温暖化防止へ法的拘束力のある現段階で唯一の条約です。4カ国が新たに約束期間に参加を表明。議長を務めたマシャバネ南アフリカ外相は「私たちは歴史をつくりました」と宣言しました。

 一方、日本政府は第2約束期間の不参加を表明しました。


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