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2011年12月19日(月)

主張

社会保障改悪

国民犠牲の「突破口」許すな

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 野田佳彦内閣が年内策定をめざす「社会保障・税の一体改革」で、社会保障「改革」案の内容を民主党が了承しました。厚生労働相ら関係5閣僚の会合で週明けに正式決定し、消費税10%への引き上げ時期などの議論に入ります。

 民主の社会保障案は、窓口負担増など実施を当面先送りした項目を含め、6月に決めた「一体改革成案」に盛り込んだ項目をほぼ網羅しました。給付削減とともに負担増という国民犠牲の大改悪路線の推進は許されません。

シングルマザーにも

 民主の社会保障案の重大な中身を象徴的に示しているのは、来年10月から実施する年金支給額の削減です。過去の物価下落時に引き下げずに凍結するなどした2・5%分を3年かけて削減するというものです。わずかな年金額からさらに毎年約0・8%削ろうという年金受給者に非情な措置です。

 4月から今年の物価下落分の0・3%程度の年金減額が先行するため合計1%以上の減額という過去最大の年金削減幅となります。国民年金の満額(月約6万6000円)受給者で約700円が消えます。“もらいすぎの解消”などといって機械的に削減することは、不況下で生活費や医療費を日々倹約している高齢者の生活実態とあまりにもかけ離れています。

 厚労省は年金削減と連動するとして、過去の物価下落時に支給を引き下げなかった一人親家庭に支給されている児童扶養手当(約108万人)、障害者施策である特別児童扶養手当(約20万人)などの削減も検討しています。「次世代育成」をいいながらシングルマザーや障害児の暮らしに容赦ないやり方はやめるべきです。介護保険の利用料引き上げ法案を来年の通常国会に提出する方向で検討するとしたことは「負担あって介護なし」の実態を加速させるものであり重大です。

 医療機関を受診するたびに窓口負担に1回100円を上乗せして支払う受診時定額負担の導入、70〜74歳の医療費窓口負担の2倍化などは、世論の厳しい批判を受け、来年度からの実施は見送りました。自民党政権時代にさえ実現できなかった、このような案を持ち出すこと自体が国民への犠牲のおしつけです。民主党案では、窓口負担について引き続き検討することを明記し、導入をあきらめていません。年金支給開始年齢を65歳から引き上げる案も「中長期的に検討」と位置づけ議論を続ける姿勢です。

 民主党内の議論では「消費税増税と負担増では国民に理解されない」という意見が出ました。国民世論の反応をうかがいながら、消費税増税にからめ、改悪のタイミングを狙っていることは明らかです。社会保障大改悪を本格的に実行する“突破口”づくりを許してはなりません。

消費税増税は中止を

 社会保障制度を大きく削り込んだうえに、消費税増税を押し付ける―。「一体改革」は国民の未来を閉ざす道です。「不退転の決意」と突き進む野田政権の暴走をストップさせなくてはなりません。社会保障拡充の財源は消費税増税に求めるのでなく、ムダの削減と富裕層・大企業への応分の負担、所得に応じた税制改革で確保すべきです。「一体改革」を断念させる世論と運動を広げることがますます重要です。


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