2011年12月16日(金)
社保庁は解雇撤回を
元職員ら提訴
社会保険庁職員に対する分限免職(解雇)の撤回を求めて、北海道、大阪、香川の当事者4人が15日、各地裁に提訴しました。提訴したのは全厚生闘争団の団員で、北海道の2人、大阪1人、香川1人です。昨年7月、京都の15人が京都地裁に提訴したのに続く第2次提訴です。
2009年末、社保庁の解体・民営化、日本年金機構の発足にともなって、職員525人がまともな理由もなく解雇されました。これを不服として、全国で全厚生闘争団の39人が人事院に不服申し立てをしました。これにもとづいて全国15事案の口頭審理が行われ、早ければ今年度中に判定が出される見込みです。
国公労連社保庁不当解雇撤回闘争本部の川村好伸事務局長は、「解雇から2年が経過し、当事者は生活面でも精神面でも追いつめられています。一刻も早く解決することをめざして提訴しました。地域を中心にたたかいの輪を広げていきたい」と語っています。
知識と経験は大切
北海道
北海道では、越後敏昭さん(46)=旧釧路社会保険事務所=と高嶋厚志さん(35)=旧稚内(わっかない)社会保険事務所=が、国に処分の取り消しと損害賠償を求めて、札幌地裁に提訴しました。北海道では初めての訴えです。
吹雪の中、裁判所前には原告の高嶋さんを囲んで弁護団、支援者が集会を開きました。
高嶋さんは「分限免職処分から2年がたちます。これは国の年金政策の失敗を隠すために、職員をいけにえにしたもので、許すことはできません。知識と経験のある職員を職場に戻すことが大事であり、このたたかいは必ず勝利したい」と決意を語りました。
20年も働いたのに
大阪
大阪では、元職員の大島琢己さん(51)が、処分取り消しを求めて大阪地裁に提訴しました。
会見で大島さんは「20年携わってきたのに強制的に辞めさせられました。年金は国民生活そのもの。なぜ民営化したのか、答えを知りたくて提訴しました」といいます。
伊賀興一弁護団長は「年金そのものを破壊する事態で、日本の公務員制度史上極めて重大な事例だ」と批判しました。
理不尽 民間も影響
香川
香川では、09年末、日本年金機構の発足に際し社会保険庁で分限免職された丸亀市の綾信貴さん(33)がその取り消しなどを求めて高松地裁に提訴しました。
綾さんは解雇後、処分取り消しを求め10年1月に人事院に不服申し立てを行い今年3月、口頭審理が行われ現在も審査中です。
弁護団の則武透弁護士は、「人事院には迅速公平な判定を求めるが、処分者側のいい加減さなど攻勢的に不当解雇の真相を明らかにし、解雇撤回を実現するため」提訴したと説明。「この理不尽がまかり通れば民間にも影響する。たたかいはみなさんのたたかいです」と話しました。
綾さんは「厚労省がクビを切ることは民間の整理解雇を助長するもの。勝つことが責務です」と語りました。
提訴には支援者ら40人が駆けつけました。