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2011年12月14日(水)

韓国EEZ 中国漁船の違法操業

目立つ組織化・暴力化

経済成長で水産需要急増 中国近海は漁業資源枯渇

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 黄海の韓国の排他的経済水域(EEZ)周辺で近年、中国漁船の違法操業や暴力行為が目立っています。12日には、中国漁船員が韓国海洋警察官を刺殺した事件が起きました。韓国側によると、今年に入り12日までに、この海域で472隻の中国漁船を中心とした外国漁船を拿捕(だほ)。58人の中国漁船員を逮捕しています。 (小林拓也、北京=小寺松雄)


 黄海の韓国EEZはワタリガニやイシモチの良好な漁場で、これまでも中国漁船の違法操業が多く発生していました。2001年に漁業協定が結ばれ、今年は1700隻に限り操業が許可されています。

負傷30人以上

 しかし、周辺海域で活動する中国漁船は1万隻を超えるといわれています。最近は、船団を組み、組織的に違法操業する例が目立っています。船員は鉄パイプや竹やり、おの、鎌などで武装しており、取り締まりに当たる韓国側の負傷者はこの5年間で30人以上にのぼっています。

 08年9月に韓国海洋警察官が中国漁船員に頭を殴られ海に落ち、死亡する事件が発生。昨年12月には中国漁船が海洋警察の警備艇に体当たりし、中国側の2人が死亡・行方不明になりました。これを機に両国は、違法操業などをした悪質な漁船は3年間入漁資格を取り消すことで合意しました。

 13日記者会見した中国外務省の劉為民報道官は12日の事件について、「遺憾なことだった」としたうえで、「韓国側とよく意思疎通をはかって、適切に処理したい」と述べました。

 中国漁船の違法操業が後を絶たない背景には、経済成長を受け、中国国内の水産物需要が急増していることがあります。いまや中国は世界の水産物消費量の3分の1を占める「水産物消費大国」です。

 一方で、乱獲や環境汚染などの影響で中国近海の漁業資源は枯渇。そのため中国漁船は、韓国や日本、東南アジア諸国のEEZに進出し、違法操業を繰り返しています。

 事件を受け、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は13日の閣僚会議で、違法操業を取り締まる海洋警察の装備と人員を補強するよう指示。韓国海洋警察庁は、漁船の取り締まり時に、隊員の安全が脅かされる場合に限り銃器などを使用していた従来の方針を転換し、初期段階から積極的に銃器を使う検討を始めました。

訪中に影響も

 13日付の韓国紙・朝鮮日報は、政府高官の話として、中国政府が適切に対処しなければ、来年1月に計画している李大統領の訪中を再検討する方針だと報じました。


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