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2011年12月14日(水)

主張

南西諸島の基地化

住民無視の予算化を許さない

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 鹿児島県の種子島から12キロの馬毛島と、台湾に近い沖縄県与那国島に軍事基地をつくるための経費を防衛省が来年度予算にもりこもうとしています。関係する自治体や住民は猛反対しています。

 種子島などの住民が基地化に反対するのは豊かな自然と「安らぎのある生活」を守るためです。とくに与那国島の住民は、アジア・太平洋戦争末期の空襲や悲惨な沖縄戦の体験にもとづいて与那国島を「平和な島」にしたいと願っています。この願いをふみにじる権利は政府にありません。基地化の企ては即刻やめるべきです。

圧倒的多数の意思

 馬毛島を、米空母艦載機部隊の夜間離着陸訓練(NLP)を含む離着陸訓練(FCLP)の基地にするとともに、自衛隊の訓練にも使うのが防衛省の狙いです。夜も昼も続く激しい爆音と墜落の危険で住民の「安らぎ」が根元から壊されるのは明らかです。

 一川保夫防衛相は馬毛島の基地化のための経費を来年度予算に「盛り込みたい」(11月22日)と明言しています。自治体・住民の願いをふみにじるものです。西之表市、中種子町、南種子町と屋久島町がつくる「米軍基地等馬毛島移設問題対策協議会」が7万人分の反対署名を集め防衛省に抗議したのは当然です。

 防衛省は与那国島にも陸上自衛隊の沿岸監視部隊と移動警戒隊を初めて配備する計画です。日本の領空、領海の境界に近い地域を飛行、航行する航空機や艦船を監視するためというのが言い分です。そのため来年度予算の概算要求ですでに15億円を計上しました。しかし与那国島の住民が基地化に同意しているわけではありません。自衛隊誘致反対署名は人口1600人のうち556人です。誘致署名に賛成した514人を上回っています。防衛省の説明会の会場では、「何もないところに弾は飛んでこない。平和な島に自衛隊はいらない」という声が圧倒しました。このことを防衛省は正面から受け止める必要があります。

 沖縄県の石垣島や下地島の軍事化の企てもあります。これらの島でも「基地はいらない」の民意は明白です。防衛省は陸自部隊の配備計画をやめるべきです。

 南西諸島の軍事化は、昨年12月政府が決定した「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」にもりこまれた方針です。6月21日の日米安全保障協議委員会(2プラス2=外交軍事閣僚協議)で確認されたように、それはアメリカの軍事要求そのものです。

 防衛省が強引に南西諸島の軍事化を進めるのは、アメリカの軍事要求にすすんで応じるためです。野田佳彦政権の安定化につなげる思惑もあります。国民の願いよりもアメリカの軍事要求と自らの党略を優先する態度を政府はきっぱり改めることが必要です。

「軍事対応」正して

 台湾と110キロしか離れていない与那国島を含めた南西諸島の軍事化は、東シナ海に面した近隣諸国との間で軍事的緊張をたかめることになるのは明らかです。軍事一本やりの対応を強めながら近隣諸国との間で平和・友好関係を築けるはずはありません。

 南西諸島の軍事化は日本のアジア外交にとって有害無益です。軍事対応中心の方針を根本から正すことが重要です。


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