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2011年12月13日(火)

生活保護

職業訓練欠席で停止も

国・地方の協議 受給者締め出す懸念

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 厚生労働省は12日、生活保護制度に関する国と地方の協議で中間とりまとめを行い、求職者支援制度の訓練を受けない一定の受給者への保護停廃止の検討を打ち出しました。同支援制度の活用が事実上、保護の要件とされかねない改悪案です。

 求職者支援制度は、雇用保険を受けられない失業者に月10万円を給付し、職業訓練を行うもの。10月から法制化されています。

 「中間とりまとめ」では、「合理的理由なく(同制度の)訓練の申込みをしない、又は訓練に出席しない場合には、稼働能力不活用として…所定の手続きの上で保護の停廃止を検討することが適当」と明記。「速やかに実行する事項」と位置づけました。

 体調の悪化などやむをえない理由で訓練を欠席した人の保護まで打ち切られたり、使いにくい同支援制度の利用を強要して、受給者を不当に生活保護から締め出す動きが強化されかねません。

 保護受給者への医療費の一部自己負担導入や価格の安い後発医薬品の使用義務付けは盛り込まれませんでしたが、「医療扶助の更なる適正化」(=削減)に向けて「あらゆる方策」を検討すると明記しました。

解説

聞くべきは当事者の声

 12日の「生活保護制度に関する国と地方の協議」で打ち出された「中間とりまとめ」は、求職者支援制度の訓練を「合理的理由なく」受けない受給者には「保護の停廃止を検討する」という重大な改悪案を含むものとなりました。

 同支援制度は10月から本格実施されていますが、地方によって訓練メニューにばらつきがあるなど、職を求める人のニーズに合った訓練が用意されているとは言えません。

 そうした訓練を強制し、従わなければ保護の停廃止も検討するとなれば、受給者を不当に生活保護から締め出す動きが強化されかねません。

 生活保護制度の改善に取り組む「生活保護問題対策全国会議」(代表幹事・尾藤広喜弁護士)は、「支援制度の活用が事実上保護の要件とされかねない」と同日付の「声明」で反対を表明しています。

 同日の協議では、地方団体の代表が「生活保護の支給額のほうが年金額より上回っているのは合点がいかない。生活保護費を減らすために検証を」(谷本正憲石川県知事)、「スマートフォンをつつきながら生活保護を受けている方がいて違和感を与えている」(岡ア誠也高知市長)と述べるなど、憲法で定められた「生存権」を保障する生活保護への認識が疑われる発言が目立ちました。

 終了後、傍聴した当事者や支援者から「問題は低年金だ」「携帯もなしに職探しや仕事の連絡ができるのか」と怒りの声が上がったのも当然です。

 小宮山洋子厚労相は協議の中で、地方からの意見に謝意を示し、「中間とりまとめは、できるところから実施して課題を一つずつ解決していきたい」と述べました。しかし、生活保護制度を本当に改善する気があるなら、まず聞くべきは、生活保護を受ける当事者の声です。(藤原直)


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