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2011年12月11日(日)

財政規律強化で合意

EU首脳会議 政府間協定締結へ

英は新協定に不参加

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 【ロンドン=小玉純一】欧州連合(EU、27カ国)は9日、ブリュッセルで前日から開いた首脳会議で、ユーロ圏(17カ国)の政府債務危機への対応策を協議し、財政悪化国への融資制度の強化や、ユーロ圏の財政規律強化策として新しい財政協定などを合意しました。

 ただし独仏が提唱したEU基本条約への協定内容の組み入れ改定には非ユーロ圏の英国が反対し断念。ユーロ圏17カ国と非ユーロ圏諸国が来年3月までに政府間協定を締結することとしました。

 同協定には英国を除く非ユーロ圏9カ国が参加の方向で、議会審議などの手続きに入ります。これにより英国1カ国が孤立した形となりました。

 ユーロ圏に関する新財政協定は▽原則的に財政赤字は国内総生産の0・5%を上限とする▽この原則を各国の憲法、基本法で定める▽欧州委員会が各国予算を監督する▽赤字が同3%を超えた場合、自動的に制裁手続きに入ることなどを内容としています。

 融資制度に関しては▽欧州安定メカニズム(ESM)の来年7月発効▽既存の欧州金融安定基金(EFSF)を13年半ばまで併存▽ESMとEFSFの合計融資能力上限の5000億ユーロを3月に見直すことを確認。加えて国際通貨基金(IMF)の対ユーロ圏対応のため、EU加盟国が最大2000億ユーロ拠出することも合意しました。

 欧州委員会や独仏が求める金融取引税導入については、英国が反対し合意に至りませんでした。


解説

「いっそう緊縮」と批判 欧州労連

 「歴史に残る決定だ」(サルコジ仏大統領)、「飛躍的進歩だ。新たな始まりのチャンスに」(メルケル独首相)。独仏首脳は、英国の条約改定反対があったとはいえ、ユーロ圏財政規律強化の合意を高く評価しました。両首脳はユーロ圏の政府債務危機対策において基本条約改定という強い措置で財政規律の回復に向けた姿勢を示し、金融市場の信頼回復をめざしてきました。政府間協定の締結という基本方向が敷かれたことは両首脳にとっての成果です。

 これに対し欧州労連は「いっそうの緊縮を導く」「持続可能な成長を回復させず、数百万人の雇用をつくらない」というものだと批判。会議直前には「首脳たちが懸念すべきは格付け会社の評価でなく、欧州市民の将来だ」と警告しています。

 他方、英国の条約改定拒否には同国の国内総生産の1割を占める金融街シティーの利益保護という事情があったと報道されました。キャメロン首相は「英国を守る手段のない条約を提起された」と説明。サルコジ大統領は、金融機関への規制を回避しようとする英国の姿勢を批判し、「規制の欠如が債務危機の背景だ」と語りました。

 英最大野党労働党のミリバンド党首は「交渉を誤った」「英国が(EUの)経済決定から除外される。英国にとってひどい結果となる」と首相を批判しました。ロイター通信はEU高官の話として、新協定に関して英国を除く首脳会議を1月に開催する可能性を伝えています。

 キャメロン首相率いる英保守党内には、英国のEU離脱を問う国民投票を求めるEU懐疑派勢力が、ユーロ圏の債務危機で勢いを増しています。

 (ロンドン=小玉純一)


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