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2011年12月1日(木)

証取委との銀行合意“公正でも、合理的でもない”

米連邦地裁 和解案承認を拒否

米紙も「近すぎる関係」指摘

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 【ワシントン=小林俊哉】米金融界の中心ウォール街を抱えるニューヨーク連邦地裁は28日、米銀3位のシティグループの住宅ローン担保証券の不正販売をめぐり、同グループと米証券取引委員会(SEC)とが合意した和解案について「公正ではない」として承認を拒否しました。


 同案件は、シティグループが、サブプライム住宅ローンに関連した10億ドル相当の証券を販売したものですが、投資家に開示必要な情報を与えず、7億ドルの損失を与えたとして、SECが訴訟に踏み切っていたものです。シティ側は問題の証券販売で1億6000万ドルの利益を上げていました。

 和解案では、シティグループが、2億8500万ドル(約222億円)を支払う一方で、民事での損害賠償を避けるために法律違反を認めないことを内容としています。

 ラコフ判事は、和解案について、「公正でも、合理的でも、適切でも、公衆の利益でもない」と強烈に批判。2億8500万ドルの和解金は「シティグループのような巨大企業にとっては、ポケットの中の小銭同様だ」と語りました。当事者双方が裁判所に十分な情報を提供しないままで承認はできないとして、両者に裁判での決着を求めました。

 これまでも、大手金融機関がかかわる同様の裁判では、事実関係の究明をせず、企業側が法律違反を認めることもなく、SEC側と和解に至ることが通例となってきました。

 ワシントン・ポスト紙(29日付)は、背景に「天下り」などを通じて、SECが米金融界と「近すぎる関係」にあるとの指摘。今回の裁判でも、SEC元高官がシティグループ側の弁護団に参加していました。

 ウォール街占拠運動の発祥地での判断だけに、同運動関連のインターネットサイトでは、「占拠運動は歓声」「占拠運動に一本」などと歓迎の声が出ています。

 地元ニューヨーク・タイムズ紙(29日付)は「ラコフ判事は激怒している。われわれすべてがそうあるべきだ」と判断を評価する社説を掲載。法律違反を認めない和解では「(米金融界の)将来の悪行を抑止する真の力にはなりえない」と主張しています。


 サブプライムローン 収入が少なく返済能力が低い人々(サブプライム層)に高い金利で貸し付けた米国の住宅ローンで、通常よりも貸し倒れの危険が高い点が特徴。米大手投資銀行は、この住宅ローンを別の金融商品に組み込み、格付け会社がこれに高格付けを与えたことから、世界中の投資家が、「優良証券」として売買しました。しかし、米住宅市場の低迷とともに価格が暴落。世界の金融市場を大混乱に陥れました。


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