2011年11月29日(火)
アラブ連盟
対シリア制裁承認
関係断絶・投資禁止など
【カイロ=伴安弘】アラブ連盟(21カ国と1機構)は27日、カイロで外相会議を開き、反政府民主化デモを弾圧しているシリアに対する制裁措置を19カ国の賛成で承認しました。
制裁措置は、アラブ諸国とシリア政府との関係の断絶、シリアへのアラブ各国政府の投資の禁止、アラブ各国にあるシリア資産の凍結、シリア政府高官の渡航禁止、シリアへの民間航空の乗り入れ禁止などからなっています。また、シリア中央銀行との取引停止も含まれていますが、シリア国民が日常的に必要とする基礎的物資の取引は禁止リストから除外されています。
会議後記者会見した議長国カタールのハマド外相は「われわれはシリアのきょうだいたちが(市民の)殺害を停止し、拘束されている人たちを釈放し、各地区から軍部隊を引き揚げることを求めている文書に調印するよう望んでいる」と強調。一方で「シリアへの外国の介入を防ぐ努力もする」と述べました。
欧州連合(EU)と米国は、すでにシリア産原油の輸入禁止などの制裁を科しています。アラブ連盟の制裁は同じアラブ諸国からのものとして、欧米の制裁以上に心理的、実質的に打撃になるとみられます。シリアはアラブ近隣諸国とトルコに輸出の半分、輸入の4分の1を依存しています。
しかし、この制裁に対し、シリアのムアレム外相は紛争の「国際化」を狙ったものだと非難。アサド政権は、反政府デモは「テロリストや外国勢力」によるものだとして、デモ弾圧の姿勢を弱めていません。27日にも、全国で少なくとも10人の市民が治安部隊によって殺害されました。