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2011年11月26日(土)

主張

米軍属起訴

日本が裁くのは当然のことだ

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 那覇地検は、ことし1月沖縄市で日本人の会社員(当時19歳)を交通事故死させながら不起訴になっていた米軍属の男を自動車運転過失致死罪で起訴しました。日米合同委員会で軍属の「公務中」の犯罪について日本の裁判権行使の要請に米が「好意的考慮を払う」と合意したのを受けたものです。

 日本の法律に違反し日本人を死亡させたのに「公務中」を理由に米軍属を起訴しなかったことが怒りを呼んでいました。合意はこうした声を無視できなかったものですが、米軍の“好意”に頼るのでは県民の怒りはおさまりません。

米軍法会議でも裁けない

 在日米軍についての地位協定は「公務中」の米兵・軍属は米軍当局が第1次刑事裁判権を行使するとしています。日本の検察はこの規定を理由に「公務中」の軍属への裁判権を放棄してきました。ところが米軍は、裁判権を行使すると地位協定でうたっているのに、犯罪を起こした軍属を軍法会議にかけてもきませんでした。米軍属が犯罪を起こしても、日本でも米国でも裁かれないのは異常です。

 米軍が軍属を軍法会議にかけないのは、平時に米国人家族や軍属を軍法会議にかけるのは憲法違反だとする1960年の米連邦最高裁判所の判決があるためです。「陪審員制度が軍事裁判にはないという理由」(64年4月9日、竹内壽平法務省刑事局長)からです。

 法務省が日本共産党の井上哲士参院議員に提出した資料によれば、2006年からの5年間で「公務中」に犯罪を起こした軍属が62人いるのに、軍法会議にかけられたものはゼロです。沖縄市で交通死亡事故を起こした軍属も5年間の運転禁止処分にされただけです。

 地位協定は「合衆国の法令によっては罰することができないもの」は日本が「専属的裁判権を行使する」と明記しています。米第7陸軍(欧州陸軍)司令部の外国法部副部長も「米国人家族または軍属が接受国の法に違反する犯罪を起こした場合には、接受国がそれらの者に対する専属的裁判権をもつ」(『駐留軍関係法ハンドブック』)といっています。「公務中」に犯罪を起こした軍属に対する裁判権を、日本が行使するのは当たり前です。

 ことは米軍の“好意”に頼る問題ではありません。米軍属を訴追せず、日本に裁判権をわたすよう米国に要求すらしてこなかった政府の責任は重大です。その反省もなく、日米合同委で改めて米軍属への第1次裁判権を米側がもつのを認め、米側の「好意的考慮」ですまそうとするやり方が許されるはずはありません。日本政府の売国的態度こそ根本から改められるべきです。

基地撤去の願い受け止め

 日米合同委員会の合意を手に25日沖縄入りした玄葉光一郎外相は合意を「基地負担の軽減」策だと説明し、普天間基地の辺野古「移設」への理解を求める姿勢です。軍属への裁判権すらまともに行使できない政府の合意に沖縄県民が納得するはずはありません。

 米兵の犯罪や事故があとをたたないなかで、県民が真に求めているのは、米軍基地の撤去です。米側の「好意的考慮」ですまさず、地位協定そのものを抜本的に改定するとともに、「基地のない平和な沖縄」への県民の思いを、政府は正面から受け止めるべきです。


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