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2011年11月19日(土)

海兵隊グアム移転費削減法案

米上院本会議で審議入り

政権「深刻な懸念」

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 米上院は17日の本会議で、2012会計年度国防権限法案の審議に入りました。上院軍事委員会(レビン委員長)が15日に可決した同法案は、オバマ政権が要求している在沖縄海兵隊のグアム移転経費約1億5600万ドル(約120億円)を実質的に認めない内容となっています。同政権は17日、「深刻な懸念」を表明し、再考を促しています。

矛盾が露呈

 オバマ大統領は17日のオーストラリア議会での演説で、アジア太平洋地域での米軍プレゼンスを「米国防予算削減の犠牲にしない」と言明しました。しかし、その思惑通りにいかない深刻な矛盾が早くも露呈した形です。

 法案は、グアム移転に関し、最新の部隊配置案に加え、必要な事業すべての建設費や実施スケジュールを詳述した基本計画(マスタープラン)が示されるまで関連経費の支出を禁止するという規定を盛り込んでいます。軍事委の投票では、賛成26、反対0の全会一致で可決されました。

 国防予算削減が迫られている中、現在、海兵隊は兵力構成の見直し作業を進めています。このためグアム移転のマスタープランを早期に確定できる見通しは立っていません。

 加えて法案は、沖縄の普天間基地「移設」について、名護市辺野古への代替新基地建設が「非現実的」との認識に立って、普天間の航空部隊を嘉手納基地に移転する研究を国防総省に求めるという、沖縄県民にとって重大な規定も盛り込んでいます。

権限を制限

 ホワイトハウスの行政管理予算局(OMB)は17日、声明を発表し、同法案について「大統領が同盟国・日本とともに外交・防衛政策を遂行するための権限を不必要に制限する」と非難。グアム移転計画の遅延・中止は「米国が同盟国との約束を守らないというメッセージを送ることになってしまう」と危機感を示しました。

 上院本会議での審議は今月末まで続く見込みです。法案が可決された場合、すでに歳出法案でグアム移転経費を全額削除した上院歳出委や、逆にすべてを承認した下院軍事、歳出両委との協議が年内をめどに行われることになるといいます。

 日米両政府はグアム移転経費が認められない事態を回避するため、普天間基地「移設」に関する環境影響評価書を年内に沖縄県に提出し、「目に見える進展」を演出。米議会の説得材料にしようとしています。 (榎本好孝)


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