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2011年11月19日(土)

オバマ豪議会演説

アジア太平洋で軍事に軸足

覇権強化狙うが不透明さも

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 オバマ米大統領は訪問先のオーストラリア連邦議会で17日演説し、アジア太平洋で軍事的役割を拡大する方針を示しました。著しく成長をとげるアジア太平洋地域への関与を強めたいオバマ政権の狙いがあります。


最優先の位置

 オバマ政権は、すでにイラクとアフガニスタンから米軍を撤退させる方針を明らかにしています。こうしたもとでオバマ氏が演説の中で軍事的にも「最優先」と位置づけたのが、アジア太平洋地域です。

 米国は深刻な財政危機を抱え、国防予算も削減対象になっています。それでも「米国の軍事予算は、同地域を犠牲にする形では削減されない」と言明するほどの力の入れようです。

 その理由としてあげたのは、アジア太平洋地域が「世界で最も急速に成長しており、雇用を創出し、米国民にチャンスをつくるという私の優先目標の達成に極めて重要だ」という点です。

 「なぜ、アジアでそんなに時間を過ごすのが重要なのか」

 オバマ氏の今回のハワイ、豪州、インドネシア歴訪についての事前ブリーフィングで記者団から、そう問われたローズ米大統領副補佐官(戦略広報担当)は「大統領の最優先事項が、雇用創出だからだ」と述べ、アジア太平洋へ輸出を拡大するうえで環太平洋連携協定(TPP)で市場の拡大を図ることの重要性を強調しました。(9日)

 こうした経済的な覇権を支えるために、軍事的にもこの地域への関与を強めたい―。ここにオバマ政権の狙いがあります。

 オバマ氏は、今回の演説に先立つ16日にギラード豪首相と会談し、豪州に米海兵隊部隊を交代で配備する方針で合意。2016年までに2500人へ増強をはかります。

 前出のローズ氏は16日のブリーフィングでも、日本と朝鮮半島での強固な軍事プレゼンスの維持と合わせて、東南アジアでの軍事的プレゼンス強化の必要性を強調。その狙いの一つとして「台頭する中国」をあげました。

影響力の衰退

 ただ、国際社会の中で米国の影響力の衰退が進むなか、軍事的な覇権の強化が本当に可能なのかは不透明です。

 同日のブリーフィングで、アジア太平洋地域向けの国防予算は増えるのか質問攻めにあったローズ氏は「正確な数字はいえない」としか答えることができませんでした。深刻な財政危機のもとで、狙い通りに国防予算を配分し、部隊強化ができるのか、はっきりしないからです。

 オバマ氏も演説の中で「中国の平和的な台頭」を「重要な国益」と位置づけ、軍事交流を含めた中国との協力強化をはかる考えも示しています。警戒を示しつつも、軍事的な緊張は望まないメッセージがうかがえます。 (田中一郎)


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