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2011年11月18日(金)

主張

受診時定額負担

患者犠牲の新たな仕組みだ

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 野田佳彦内閣が患者に新たな負担を強いる医療制度改悪を計画しています。その中心は、医療機関を受診するたびに一定金額(1回100円)を上乗せする受診時定額負担です。

 いまでも日本の医療費の窓口負担(現役世代3割、高齢者など1〜3割)は公的医療保険のある欧州諸国などと比べると異常な高さです。窓口負担を引き下げることこそが緊急の課題にもかかわらず、新たなお金を徴収する受診時定額負担の導入は国民の切実な願いに逆行する暴挙そのものです。

際限なく膨れ上がる

 受診時定額負担は今年7月、菅直人・前内閣が決めた「社会保障・税一体改革成案」に盛り込まれ、現在、厚生労働省の審議会で具体化がすすめられています。

 厚労省は、負担増の実施によって「浮いた財源」を高額療養費の改善にあてると説明しています。医療費がかかる人の負担を緩和する高額療養費改善は国民の願いです。しかし、その財源捻出を理由に、医療が必要な患者に新たな負担を強いることは筋が違います。医療制度改善の財源は、大企業優遇の税・保険料負担の仕組みをただすことや国の歳出の浪費の見直しを通じて確保すべきです。

 負担増の仕組みを一度つくってしまえば、際限ない負担引き上げに道を開くことになります。「一体改革」を議論する政府の会議では「100円で本当にいいのか、もうちょっと高くてもいい」(吉川洋・東京大学教授)という露骨な発言も出ました。最初に「わずか」でも、「雪だるま式」に負担が膨れあがることは、この間の医療費窓口負担増の歴史が証明しています。

 毎回100円の定額負担は、医療機関にかかる頻度が高い高齢者や慢性疾患の患者にとっては耐え難い金額です。厚労省は定額負担導入によって、2000億円規模の受診抑制になると試算しています。必要な医療を患者に我慢させて、医療費を削減しようというやり方はあまりにも非情です。低所得者に限り「50円」という案を示しましたが、こんな姑息(こそく)な手段をとるのでなく、きっぱり導入をやめるべきです。

 「受診時定額負担」の原型は、小泉純一郎・自公政権時代に医療費削減策の一環として検討された「保険免責」制です。医療費の一定額を保険のきく対象からはずし、患者に定額を負担させるというものでした。医療費抑制を狙う日本経団連などが導入を求め、厚労省も医療制度改定案(2005年10月)に盛り込みましたが、国民の強い反対で法案化を見送りました。自公政権ができなかった仕組みをよみがえらせ、強行することなど許されません。

無料化めざしてこそ

 3割負担を超えるお金を医療機関窓口で徴収することなど、もはや医療保険制度とはいえません。02年の健康保険法改定では「将来にわたり7割給付(患者3割負担)を維持する」とわざわざ法律に明記しました。

 保険証1枚あれば誰もが医療を受けることができる国民皆保険制度の根幹を破壊する負担導入は撤回すべきです。子ども医療費無料化を国の制度にすることや75歳以上の医療費引き下げの運動と合わせ、窓口負担増を許さず、無料化を求める運動を広げることが求められています。


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