2011年10月8日(土)「しんぶん赤旗」

陸山会事件 ご都合主義の小沢氏

かばう民主党の異常


 「憲政史上の一大汚点として後世に残るものである」「政党政治への国民の信頼を取り戻し、真の議会制民主主義を確立する以外にない」

 民主党の小沢一郎元代表が、資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑での初公判(6日)で表明した検察批判の主張です。この主張は、小沢氏自身にそのまま跳ね返ってきます。

 同日の会見で、国会で説明責任を果たすつもりがあるのかと問われた小沢氏は、「三権分立をどう考えているのか」と記者をどう喝し、「司法の独立」を盾に拒否する姿勢を鮮明にしました。しかし、国会で説明することがなぜ、司法の独立を侵害することになるのか。

疑惑説明せず

 司法は、証拠に基づき犯罪か否かを判断する場であり、国会は、疑惑の真相を究明し、政治的・道義的責任を明らかにする場です。この役割の違いは明白であり、それは本来、小沢氏が一番よく理解しているはずです。

 「われわれは、政治倫理に反する事実があるとの疑惑をもたれた場合にはみずから真摯(しんし)な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない」

 1985年6月に衆院で議決された「政治倫理綱領」の一節。当時、議院運営委員長としてこれを取りまとめたのが、他ならぬ小沢氏でした。にもかかわらず今回、自らの疑惑は国会で一切説明しないというのは、これこそ、「憲政史上の一大汚点」であり、「政党政治への国民の信頼」を傷つけるものです。

 国民の最大の関心は、虚偽記載にかかわる4億円の原資です。小沢氏は「私のお金だ」といいますが、政治家がどうして4億円もの資金をつくりだすことができたのか。疑惑の核心は、原資にゼネコンからの闇献金が含まれているのではないかということであり、これについて小沢氏は初公判や会見でまったく説明していません。

 今回、検察を「土足で議会制民主主義を踏みにじり」とまで言って批判した小沢氏。しかし昨年2月、検察が不起訴を決定した際には、「公平公正な捜査の結果が出た」と評価していました。ここにも、自分に都合がいいか悪いかだけを考え方の基準とする、小沢氏のご都合主義が如実に現れています。

喚問に否定的

 野田佳彦首相や民主党の態度も重大です。

 首相は6日の参院復興特で「裁判を通じて説明責任を果たしていただきたい」などと述べ、日本共産党など野党が求めている小沢氏の証人喚問について「やり方が妥当かどうか、慎重に考えるべきだ」と否定的な見解を示しました。

 輿石東民主党幹事長は同日の会見で、小沢氏が初公判で裁判の打ち切りを主張したことについて「私もそう思っている」とまで述べました。

 小沢氏の疑惑は、公共事業につぎ込まれた国民の税金が企業献金を通じて同氏に還流していたのではないかというものです。それは、政治のあり方の根本を問うものです。

 政府・民主党が自らここにメスを入れないということは、古い自民党政治の継続を宣言するに等しい姿勢といえます。(小泉大介)





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